アルキレート Alkylate,リフォーメート Reformate
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 石油屋ではないので,この項目についてはそれほどしっかりしたことは書けない.昨日聞いてきたことを今日喋るの類いであり,「と言われている」 という内容であって,いくらか間違いがあるかもしれない.ご容赦を乞う.まずはガソリン関連に限ることになる.

 比較的分かりやすい資料を提供している Web site として下記,プラントエンジニアリング会社 Foster Wheeler のそれを挙げておく.

http://www.parts.fwc.com/publications/tech_papers/index.cfm
まずは http://www.parts.fwc.com/publications/tech_papers/oil_gas/ARTC.pdf あたりから.

 基本的な勉強なら,Colorado School of Mines の J. Jechura のページ がよい.ここに書いたことが,表現は違えども,おそらくすべて出ているであろう.

 もっと簡単にということなら,こういうページ もある.こちらならすぐに分かる.



 かつてはガソリンのオクタン価を上げる手法は,アルキル鉛をストレート蒸留ガソリン基材に混ぜるというようなものであったが,排気規制に対処するには CO, NOx, HC の同時処理ができる三元触媒を使うことが必須となって,手法は大きく変わった.排気浄化触媒寿命維持という要求からガソリンが無鉛化された.その時期にガソリンのオクタン価は大きく低下した.再び高オクタン価プレミアムガソリンを得るためにまず考えられたのは MTBE, methyl tertiary butyl ether (RON: 117, MON: 101) を加えることであった.MTBE は発熱量は低いが,オクタン価が十分に高いうえ,蒸発性が良いので,加速性向上に寄与するなど利点が多く,1990 年代には我国でもかなり添加された.しかしながら,アメリカにおいて土壌に溶けだした MTBE の井戸水への混入が問題となり,現在では MTBE はわずかしか使われない.

 ガソリンは原油からの蒸溜による,いわゆる直溜ガソリン Straight-run Gasoline だけで作られるのではない.原油を以下に示すような,常圧蒸溜 → 脱硫精製,水素化脱硫,減圧蒸溜 → 異性化,熱分解,水素化分解,接触分解,接触改質,アルキレーション,脱ブタン を経て,それぞれの経路で得られたガソリン基材を混合・調合して所定の性能を有するガソリンとする.


・異性化ガソリン,イソガソリン Isomerate

 常圧蒸溜軽質脱硫ナフサを触媒で水素異性化反応処理して,C5, C6 の軽質イソパラフィンに変化させたもの.オクタン価は 90 程度である.オクタン価の高い基材を製造する手法がいま模索されている.


・分解ガソリン Crackate

 熱分解 Coker,水素化分解 Hydrocrackate などもあるが,FCC が分解ガソリンが中心である.FCC (Fluid Catalytic Cracking 流動接触分解装置) で,脱硫重質軽油もしくは脱硫重油を分解して作られ,まずまずのオクタン価を有するオレフィン系 CnH2n 炭化水素が主体である.製造コストもかなり低い.我国で売られているレギュラガソリンにはこの基材が 30% 近く入っていると聞く.

 FCC 分解ガソリンに含まれる炭化水素の内から,さらにオクタン価の高い軽質分のみを取り出したものが「軽質分解ガソリン」であり,そのオクタン価は 95 くらいある.

 FCC は,直溜のままなら重油でしかないものをガソリンに変える操作であり,消費分野に合わせて石油を使い切るうえで欠かせない手法である.また,その副生物がアルキレートのような次の製品を生むという点で注目すべき過程である.しかし,すべてがガソリンへ転換されるわけではなく,メチルナフタレンなど芳香族成分を多く含む分解灯軽油 (Light Cycle Oil, LCO),分解残油 (Decanted Oil, DCO) が付帯的に出てくる.軽油・A重油の基材として使えるものは比較的問題ないが,低セタン価,高硫黄,高窒素のものは舶用 C 重油にしか混ぜられない.そうしたものが舶用 C 重油に混ぜられたときには着火性などで問題が出ることも多い.


・脱ベンゼン改質ガソリン,リフォーメート Reformate

 プラットフォーマーあるいはレニフォーマーと呼ばれる連続触媒再生式 (Continuous Catalyst Regeneration CCR) 接触改質 (リフォーミング Reforming) 装置により,常圧蒸溜重質ナフサ中のパラフィン系炭化水素を高オクタン価の芳香族系主体の炭化水素に改質し,そこからさらに脱ベンゼン装置でベンゼンを分離して「脱ベンゼン改質ガソリン」とする.オクタン価は 105 くらいで比重は 0.86 - 0.88 と高い.この過程で副生物として水素が得られ,軽油の脱硫などに使われる.

 これもまた,もともと軽油・重油であるところをガソリンに変える操作である.芳香族系炭化水素はディーゼル軽油では嫌われ者であるが,ガソリン基材としては依然きわめて重要である.


・アルキレート Alkylate

 アルキレーション Alkylation とは,イソブタンのような側鎖をもつ軽質のパラフィン系 CnH2n+2 炭化水素と,プロピレン,ブチレンなどの低級オレフィン CnH2n とを反応させて,イソオクタンのようなイソパラフィンを作ることをいう.できたものは飽和炭化水素 CnH2n+2 であり,それをアルキレート Alkylate と呼ぶ.成分の多くはイソペンタンとイソオクタンであって,オクタン価の高い基材である.米国で 1930 年代後半に航空ガソリンの製造法として実用化された.

 これは分子量の小さいものから大きいものを作り出す操作であるから,一種の 合成燃料の製造 である.ガソリン無鉛化が義務となった時期から,低下したガソリンのオクタン価を再び高くするための,プレミアムガソリン基材として広く使われるようになった.硫黄分の低減にも貢献する.ただし,製造コストは高い.このように現在すでに燃料が合成される時代に入っているのであるが,石油系原料の場合には合成燃料とは呼ばず,石炭,天然ガスなど,石油以外のものを原料とする場合にのみ合成燃料という言葉を使うようである.

 C4, C5 オレフィンは,流動接触分解装置 FCC の副生 LPG であり,アルキレーションは,オフガス Off gas として 未利用であったものの有効利用 として進められた.イソオクタン (RON/MON 100),2,2,3-トリメチルブタン (RON 102) とオクタン価は高いが,これらイソパラフィン系炭化水素の比重は 0.72 前後と小さい.蒸発性はそれほど良くはなく,加速性向上にはつながらない.


・重合ガソリン Polymer Gasoline

 接触分解 (FCC),熱分解などで生じた LPG 留分,つまりプロピレンやブチレンなどのオレフィン系炭化水素を重合させ,オクタン価の高いガソリン留分にするという,分解の逆操作で作られる.重合は Polymerization の訳語であるが,この操作は Catalytic Condensation Process とも呼ばれる.Ziegler 系触媒を用いて比較的低温・低圧下で重合させるこの方法は,上に述べたアルキレーションと較べ,原料の制約が低いものの,1) 同一量オレフィンから得られるガソリン量が半分以下,2) アルキレートと比較して MON 価が低いなどの欠点がある.


・脱ブタン

 光化学スモッグの原因となる光化学オキシダントの環境基準達成率が極めて低いため,ガソリンから蒸発する軽質溜分を減らす対策として,ガソリンのリード蒸気圧を 65 kPa 以下にして大気中に排出するという自主規制がなされているという.ガソリンから軽質溜分を除くことを脱ブタンと呼んでいる.ブタンだけと特定されているわけではない.ブタンを取り除くことによりガソリンのオクタン価が低下すると同時に蒸発性も下がり,加速性が落ちる.


 このように,オクタン価 95 以上のガソリンをつくるために加える基材は,リフォーメイトとアルキレート以外にないが,ともに沸点は高めである.高オクタン化は高沸点化と同居しており,気化器で燃料を供給するバイクなどには始動性,加速性で良いところはあまりない.


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