進路決定にあたって留意すべきこと
平成 15 年 2 月 18 日更新,Ver. 1.1


《平成 15 年度就職斡旋 (大学推薦) に関する基本方針》 平成 15 年 2 月 18 日,平成 15 年度 就職担当,太田 安彦
 (斡旋開始は 3 月 20 日から.ただし,早期の募集についても各人の希望があれば個別に対応する.)

大学推薦の定義は,1. 推薦状をつけて応募書類を送った段階で初めて選考が始まる,2. 大学推薦で内定を得れば,以降その企業に入社する以外の選択肢はない,というものである.1. と 2. の条項には OR ではなく AND が成立していなければならない.これに則らない場合,学生側,企業側を問わず,すべて自由応募として取り扱う.
・ 自分が推薦されるに値するかどうかを考えておく.受け取る給与に対して自分が出せるものは何か,などについて自己評価しておく.
・ 春休み中に就職か進学かの方針,就職の場合には希望と希望からのズレの許容範囲などをある程度明確にしておく.近親者ともよく相談しておく.
・ 学部卒業予定者,大学院修了予定者について共に以下の事項を適用する.

・ 就職斡旋というのはもともと法的に認められた機関以外が行ってはならない業務である.大学は厚生労働省の許可を得て,その枠内で大学推薦活動をしている.職業安定法 (昭和 22 年 法律第 141 号,第 33 条の 2 ) に基づき,労働省の傘の下にある,あるいは,網を被せられているということである.そのため国立大学が企業に学生を推薦するということは,許可を得てはいるものの,かなり危険な要素を含む.大学としてもそれなりの覚悟なくしてはやれないということである.逆に大学がこの業務を行わないことについては何の問題もない.それゆえ,この業務については通常の,個々人の交渉とか契約とかという概念が適用され得ないことが往々であることを予め承知されたい.もちろん,結果の報告義務が課せられている.通常,職を求めるに当たっては,職業安定所にまず "求職票" を提出するのであるが,大学の就職担当教官に提出する
進路希望調査票はそれと等価なものなのである.人を求める企業は,職業安定所にではなく大学に "求人票" を出して依頼する."求人票" の内容と "求職票" の内容とに合意点が見いだせて初めて就職斡旋が進む.一方,明治時代からの大学と企業との "つきあい" という要素も双方の意識に沈着しており,大学に頼んで,この人と推薦された人を断れないというような感覚がまだいくらかは残っている.10 年以上前にはこの感覚そのもので就職斡旋をなさった先生もおられた.現今では選考することそのものは企業側の専管事項になっているといってよいであろう.それにしても推薦依頼は教官宛てに来ているので,そこに就職担当教官の裁量余地が存在する.
 なお,自由応募で就職する人についても報告義務はまぬがれない.単数複数個々の内定結果は必要ないが,最終的にここに就職すると決めた一社がどこかということについては就職担当教官に連絡されたい.

・ 斡旋開始日以降は,大学推薦か自由応募かを明確に Switch するように.自由応募へ Switch し,再び大学推薦へ Switch するということも差しつかえない.

紳士協定事項
 紳士協定を遵守しそうにないと判断される場合には大学推薦はしない.場合によっては,相手先企業に推薦書の返還を求める.紳士でないことが明らかになった場合にはその旨相手先に通知する.一方,企業が紳士的でない場合もあり,大学推薦の応募者を望むのか,その企業に興味がある人をどんどんよこしてというのか,はっきりしない場合がある.後者については自由応募とみなす.
 1. 大学推薦で応募中には自由応募を新たに加えない.本年度は 3/20 に業務が開始されるので,その段階で大学推薦依頼を出したら,以降,自由応募企業を増やさない.
 2. 大学推薦で内定を得れば,以降その企業に入社する以外の選択肢はない.
 3. 内定の通知があれば速やかに就職担当に報告する.

以下の事項について予め諒解されたい
 1. 学部在籍者については卒業研究着手者を斡旋対象者とする.
 2. 推薦業務についての権限と義務はすべて就職担当にある.推薦するに値するかどうかを判断するのは就職担当,ひいては大学の責任である.
 3. 推薦は一人一時期一社,否回答があった場合に次の新たな一社に推薦する.
 4. 一社推薦人数は推薦依頼人数を上回ることはない.数については就職担当が判断して決める.
 5. 工場見学などで学生を集めてそこで面接し,後日会社側が本人に大学推薦を取れば内定を出すというようなことを言っても,それには大学は対応しない.
 6. メFirst-Come-First-Servedモ,つまり メ早いもの勝ちモ ということもある.みんなが揃うまで待つわけではない.
 7. 本人と就職担当との意見の相違については議論 3 分.議論しないこともある.


《進路指導一般》
 1. 博士後期課程進学:進学希望者は,指導教官とよく相談し,諒解を得ること.
 2. 博士前期課程進学:進学希望者は,本学の大学院へ推薦されるかどうかの可能性などについて卒業研究指導教官の意見をまず聞く.
  なお,推薦入学者に決まった場合には他の大学院を受験できない.別途,誓約書の提出を指示する.
 3. その他の注意事項
  (1) 写真を用意しておくこと.
  (2) 民間企業の多くは大学 (学科) の推薦を要求する.就職担当教官が推薦に当たる.
  (3) 卒業の見込みがないと判断される場合には推薦しない.メ卒研着手=卒業見込みモ ではない.
  (4) 進学希望者は不合格になった場合の希望を記しておく.合否判明までに準備が必要かどうかを知るためである.
  (5) 同一の会社に同一年度に多数が就職するのは好ましくない.実績と情勢により複数推薦することもあるが,原則として 1 社に 1 名を推薦する.自主的な調整がなされない場合,調整は担当教官が行う.
  (6) 特殊な事情がある場合を除き,複数の会社にまたがって推薦することはない.
  (7) 推薦と推薦以外の方法(縁故,自由応募など)で同一企業に同時に応募してはいけない.推薦以外の方法による場合には申し出ること.状況を見て,推薦以外の方法で応募しているところとは別の企業へ推薦することはあり得るが,この場合,双方で内定が得られたときには,大学が推薦した会社に就職するものとする.
  (8) 公務員と企業に同時に応募しようとする場合も申し出ること.
  (9) 5 月の定期健康診断を必ず受けること.

《調査票の提出について》 
機械工学科関連で,学内において,個人情報を含む,進路の意向調査をするのは就職業務担当教官のみであり,このWeb site からの進路希望調査票以外にはない.昨年度,素性の明らかでない組織が学内で類似の調査票を配り,記入を促すという事件があった.そういうものにはいっさい手をつけないように.
 1. 自分が記入し,送信した画面の内容を記録媒体に保存しておくこと.
 2. 記載内容を修正・変更,あるいは必要な個人情報を追加したい場合,また,会社名などが欠落していた場合には,その都度,新たに調査票を送信すること.何回目の送信であるかを明確にしておくこと.

《求人状況および求職に当たっての注意》
 1. 10 数年前のバブル絶頂期と較べると,機械工学科へ求人に来る会社の数は 1/3,1 社当たりの求人数は 1/4,学生数は 1.2 倍,求人倍数は 1/6 になった.23 年前のオイルショック時もこうであったろうか.オイルショックは一時的であったが,今の状況はしばらく続く.バブルは異常な悪夢で,今がむしろ正常であると考えるべきであろう.それにしても,好転しているところもないわけではなく,求人数は求職者数の 10 倍程度はある.
 2. 機械技術者の活躍の場は広い.例えば,製造業のすべてが工作やメカに強い機械技術者,特に,図面の書ける機械技術者を必要としている.狭い メ機械モ のイメージにこだわらず,メ機械モ を広くとらえてほしい.そうすれば,就職に困ることはない.
 3. 就職は基本的には生活のためである.体裁をとるか,実をとるか.仕事に気持ちよく精を出せるのは幸せの大きな条件である.機械技術者が少数派であるような職場の方が,むしろ,前途が明るいかも知れない.いろいろな専門の人との接触で人間が広く大きくなるかもしれない.メ就社モ ではなく,メ就職モ である.
 4. 就職するのは諸君自身である.「大学に出て来たとき打ち合わせて決めたことを翌朝ひるがえす」 ということのないように願いたい.両親,近親者の意見を聞く必要はあるが,決めなくてはならない時期以前にそのあたりを充分話し合っておいてもらいたい.
 5. 慌てない,おろおろしない,やみくもな個人プレィは慎む.いやしくも,諸君は名古屋工業大学に入学し,卒業できる人間ではないか.自信を持て.
 6. 未修得科目の完全理解,卒業研究の充実など,大学生活を規則正しくすること.それができないようでは心許ないし,推薦もできない.平成 9 年度卒業生から新しいカリキュラムになっており,2→3 年次の進級制限が無くなったためか,卒業研究に着手することはできても,卒業に必要な単位を取得できないケースが多くなった.3 月末卒業を含めてもその状況は変わらない.一方,就職試験で否となった理由として 「基礎学力が無い」 という回答が増えている.大学として推薦するに躊躇がある場合が多い.「文章が書けない」というのも多いが,最近は「まともに話せない」というのが増えた.
 7. 情緒を安定させ,就職のことを考えるときは短時間それに集中すること.システマティックに自分と相手 (会社) をチェックするとよい.何かを断って意識の高揚を試みるのもよい.例えば,漫画を読むのをしばらく止めて,代わりに,古典などを読んでみてはどうか.姿勢をはじめ,日常生活を今から正すことを勧めたい.常識的な日常の挨拶をきちんとするように心がける.先生に朝会ったら 「おはようございます」,帰りなら 「お先に.失礼します.」 とはっきりと言えるようにし,対人関係を大切にする.
 8. 初めての経験だと思うが,この機会に自分をじっくりと見つめてみる.背筋は伸びているか.正しく箸を持てるか.朝食はちゃんととっているか.基礎学力,能力・適性はどうか.自分はどういう人間か.好きなこと,やりたいことは何か.どういうときに幸せを感じ,落ち着けるか.人間関係はまともか.意欲,向上心は十分か.好奇心はあるか,未知の分野に挑戦し,適応できるか.創造力に富んでいるか.正しく日本語が話せるか.起承転結,どれか欠けてはいないか.文字を丁寧に書いているか.文章が書けるか.英文を読み下せるか.以上は,面接で必ずチェックされることでもある.自分をどれだけ相手に知らせることができるか.どれだけ自分をアピールできるか.それで負けたのなら悔いはないだろう.いずれにせよ,面接担当者に「よう分からん奴だ」と思われたらまず失敗.一般論は通じないし,もちろん模範解答もない.メこうして内定を取るモ などという本を読んで片付くことではない.実体がないことは無意味である.


《求人企業リスト》:求人企業名,勤務先 (明記されたもののみ),従業員数など.平成 15 年度の新着求人情報は,学科内からのみアクセス可能な Website 上で知らせる.Url Address を教える.学科内に設置されているコンピュタから Browser で直接アクセスすれば閲覧できる.内容をコピーしたり,プリントしたりすることはできないようにしてある.Password によるアクセス制限もかかっている.3 号館 317 室,資料室に閲覧用のコンピュタが 2 台設置されている.求人票そのものは,就職担当教官が管理している.原則として大学推薦で応募すると決まった人にのみ貸し出す.

《資料室 (3 号館 317 室),資料の種類,利用目的および所在》
 1. 求人案内などの資料を資料室に置いて,順次更新して行く.企業の求人用パンフレット,会社案内・OB リスト等の入った封筒を 50 音順に棚に陳列してある.資料を資料室から決して持ち出してはならない.他の人の迷惑になる.もともと一部しかない.自分に必要な部分をノートに書き写せ.内内定が出た後であってもその企業の資料を私物化してはいけない.Weekday の 8:30〜20:00 が資料室利用時間であり,それ以外には施錠されている.
 2. 奨学生募集リスト (日本育英会を除く):受付日,企業名,応募資格,締切等のリストなどは平成 15 年度 学科長 長野 教授 扱いとする.

《個別相談,個別面談など》
 1. 調査票受理後,個別に対応する.個人の呼び出しは基本的に E-mail で行う.場合によっては,指導教官を通じて連絡することもある.毎日 E-mail の到着有無を調べること.予定がはっきりしていない人でも,Website 上の新着情報に注意すること.
 2. 相談に応じる.しかしまずは
進路希望調査票の "その他" コメント欄に書いておいてもらいたい.まずは E-mail で回答する.面談が必要な場合には,当分の間,月,火,水,木曜日の 17:30〜20:00 の時間帯に限って対応する.土曜日を希望する場合には予約すること.


《就職戦線について》
 (1) 平成 15 年度は昨年度よりも企業の出足がいくぶん早い.大学側の対応はまちまちであるが,国公立大の技術系昨年と大きくは違わない日程で進めるようである.化学系は企業も大学も相変わらず早い.
 (2) 大手や知名度の高い会社は,十分な応募があることは間違いないから,経済の先行きを見るために,昨年よりもゆっくりやろうという意向もあるようである.主立った国公立大とは私学とは別の採用スケデュールを設定しているもようである.
 (3) 中小企業へは,大手よりも少し遅く斡旋したいが,私学の早さにある程度対応しなければいけないし,また,買い手市場とも言えるこの際,第 1 志望者を大事にするという意味で,昨年並に行うつもりである.
 (4) 第 1 志望の調整・決定および個別指導を 3 月 20 日 以降進めて行くとすると,例年より 3 週間ないし 1 月早い.推薦は全員一斉というわけにはいかない.企業側の希望に沿う場合もある.「見切り発車」 もありうる.1 ヶ月くらい差が出る可能性もある.

《自由応募について》
 自由応募は昔から実施されていた.特異な人材を少数必要とする場合,あるいは逆に,大学で修めた専門とは無関係に,主に知的水準だけで人物を選考したい場合,などである.最近,自由応募の形態が増加した理由はいろいろで,大学の推薦制度そのものに問題があるためでもあるが,考えられることは,
 1. 技術系人材の需給のアンバランス (需要>供給) はいまでも続いており,今後も解消しそうもない.ちょっと景気がいいと,大手や知名度の高い企業に人材が集中してしまってどうにもならない.
 2. バブルに浮かれて余剰人員を抱えてしまった大手は,景気の見通しはおろか,世界の中での自社のありよう,社会的存在としての企業の哲学と戦略を打ち出せないまま,とりあえず,採用計画を縮小するしか方法がない.
 3. 就職だけは心配ないと思っていた国公立の技術系の学生までが,日頃真面目にきちっと勉強していないせいもあって,浮き足立ってしまう.それに対して,中小企業にとってはこの上もないチャンス到来である.資料請求や照会が山のように来る.中には,今まで全く縁のなかった有名な国公立の学生からも問合わせがくる.その場合,「自由応募」 であるから,会社も勝手な対応ができる.採用規模は元々小さい.ほんの少数の優秀な学生だけをピックアップして メいらっしゃいモ と言えば済む.今までお願いしていた私大との義理も反古にできる.
 4. 企業はどこも,生きていくためにしたたかである.企業の人事担当も,自分自身の死活問題であるから,当然のことながら,大抵はしたたかである.アマチャンで育ってきた諸君は,それに対抗できる,よい意味でのしたたかさを持っているのかどうか.
 5. 現段階で既に自由応募路線に踏み込んでいる人は,それが第 1 希望であるなら,そのまま続ければよい.また,自由応募先が第 2 希望や滑り止めであっても,すでに進めているものを禁止することはしない.ずっと自由応募で行くならら,文系のように,沢山の内定をとって,その内から気に入った 1 社を選べばよい.
 6. いま,自由応募でと考えている人は,この Site の資料を参考にして,推薦依頼が機械工学科にありそうかどうかをまず判断せよ.推薦依頼が来ないと思われる会社でも,それが第 1 希望であるなら,応募してみればいい.相談があれば大学推薦の可能性,応募条件などを照会してみる.
 7. 現段階で既に第 2 希望や滑り止めとして自由応募を進めていて,これから大学の推薦を受けようとする場合には,それ以上に自由応募先を増やしてはならない.「推薦と自由応募との双方から内定を得た場合は,推薦された会社に就職する」 という基本原則だけは,必ず守ってもらいたい.

《自由応募と推薦,志望理由などについて》
 1. 採用方法として自由応募および推薦との併用が増えている理由
 (1) 採用計画の縮小:大学から推薦された数だけ採用できないため メ推薦を依頼モ しない.
 (2) 大学推薦に対する不信:必ずしも期待どおり実力のある人物が推薦されず,就職希望者の紹介にすぎないケースが少なくない.とにかく頭数を確保したい時期にはそれでも済んだが,これからは違う.もともと違っているのであって,大学からの推薦は推薦にあたいする人のみでなければならないはずであり,ここをいいかげんにしていると大学としても命取りになる.そうは言っても,担当者としては事務的に処理せざるを得ないこともしばしばである.
 (3) 買い手市場:採用数を過小に表示して,まず,第 1 志望者の中から優秀な学生をピックアップする.ついで,一敗地にまみれた第 2 志望者から,予定どおり何人かを採用する.
 2. 志望理由について
 (1) 企業の業績や安定性,将来性などを志望理由にあげる気持ちは分かる.しかし,面接で会社を褒めてもなんにもならない.いま業績が良く,好調であってもいまがピークの会社は数多いし,大量生産で生きているところは販売量が減ったとたんに弱体化する.
 (2) 自分のやりたいことが企業の事業内容にあるか,その企業に入って自分に何ができるか,自分の存在が尊重される職場であるか,などを検討するほうが重要である.昔から倫理感を持った企業活動をして来ているか,最近だけのことか,見直すのがよい.世間が誉めているのを鵜呑みにしてはいけない.
 (3) たいていは,何かを生産しているメーカだから,自分が作ることになる製品の社会的存在価値も考えるべきである.ただ儲かればよいのではない.
 (4) 研究,開発,設計をやりたいという人が圧倒的に多い.生産技術・設備も機械屋がいなくてはどうにもならない.メーカで役員になる近道は,生産技術の開発・設計を担当することである.大学院修了者には研究職の希望が多いが,研究職にはそれなりの素養がなければ先細りしかない.安易には勧められない.
 3. 推薦依頼企業について
 (1) 10 年来,いや 30 年来,機械工学科との信頼関係のある会社は,採用計画が縮小されたときには,推薦依頼校もそれに応じて削減している.
 (2) 採用数を削減しても,機械系の採用数を維持している会社も少なくない.
 (3) 自由応募で多く合格を出し,放棄者が出なくて,4 月に予定以上を引き受けなければならなくなったら,人件費の見込みが狂う.そうした危険を犯したくないので,採用人員を堅く見積れる大学推薦制を評価する企業が最近また増えてきている.
 (3) したがって,あるいは,いうまでもなく,推薦枠はそれなりに大切なものであるとの認識が必要である.
 4. 就職戦線に立って
 (1) 入りたい会社とその人を歓迎する会社とが一致するのが理想である.求職者が会社をチェックするように,会社も求職者をチェックする.もちろん,会社の方が 一枚も二枚も上手である.ただし,大学入試と違って,相性についても判断される.逆に不採用になっても,実力不足ではなく,単に相性が悪かっただけということもある.
 (2) 学生の本分・学業をきちっとすること:背筋を伸ばして姿勢を正す.毎日の生活を自分で律する.少なくとも,必須科目(卒業研究を含む)の履修に十分な時間をかける.それさえできないのがやたら走り回っても駄目.既にこれまでサボって来たと自覚しているなら,自習に励み,友人の助けも借りて,早く追いつけ.
 (3) 未習得必須科目が多く,しかも今の生活がいいかげんな学生については,推薦してもたいてい不採用の返事が来る.一時的な,見かけだけのつくろいは面接で必ず メばれるモ.いますぐ就職活動を停止し,気持ちを入れ替えて,7 月末まで,学業に専念すること.それができたら,相応の会社が待っている.
 (4) このことは,大学院受験組にも当てはまる.大学院を修了したからといって,学部の実績が帳消しになるとは限らない. また,出身高校がどこかによって採否が決まる場合もある.
 (5) やたらに自由応募しても,時間の無駄である.少なくとも,求人票がきている会社については大学推薦制に乗ってゆっくりやっても遅くない.
 (6) どういう企業がよいのか,よく分からないのが普通である.慌てず,じっくり腰を落ち着けてながめてみること.そして,例えば 20 年後にも想いを馳せて,どんなことをやりたいか,どんな仕事が自分に合っているか,どんな仕事が好きか,何が分からないのか,などを書き出して整理してみてはいかがか.なんとなく不安なので連日 "企業展" をめぐって,ちやほやされて来ても,その不安は解消されない.自分の考えをしっかり持つよりない.


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