モータリング機関 Single-Cycle Mortored Engine
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 モータリング Motoring というのは,出力軸をモータで廻すという意味であって,スタータモータでエンジンを始動するときがほぼそれに当たる.実験室レヴェルの仕事としてモータリングがなされる例には,摩擦トルクの計測などがある.

 通常のエンジンのように,連続して動力を得るのではなく,条件を厳密に定めて一回だけ燃焼させたいというような要求に合わせた実験装置がここに示すモータリング機関である.第一の特徴は,残留ガスがないということである.その一例を右端の図に示す.

 Yamaha: SR500, Single Cylinder, φ87×84 mm を研究用に改造したものである.シリンダ周りには変更はほとんどないが,ヘッド側は,この個体ついては特に燃焼現象の可視化* を目的として,全面バイコールないしは石英窓に,またピストン頂面はシュリーレン撮影のために平面鏡になっている.標準的な圧縮比は ε= 9.1 であるが,その前後に振ることができる.

 このエンジンはショートストロークなので,燃焼室高さが小さい.火炎伝播の撮影では,三次元性は比較的低く,二次元性が保たれる.


 混合気を吸入したあと,圧縮行程,燃焼過程膨張行程を通じて,燃焼室形状が完全なパンケーキ形を保ち,燃焼室壁に一切の凹凸がないようにするために,下図のような空気圧作動弁が設置されている.ここに示したエンジンでは,特にシリンダ全体を可視化するということを併せて目的にしている場合にはシリンダ側にしか流入/流出弁を設置することができない.


 * 先には可視化を望まず,単一サイクル燃焼現象のみを目的としたモータリング機関φ85×100,Yanmar NT85 ベースを所持していたが,今は無い.


 上記と同じエンジンであるが,シリンダ内チャージにスワールを付与したことの効果を調べたときの配置を右に示す.この配置では吸入流れを完全な接線的なものとせず,中央部に強制渦,周辺部に自由渦が形成されるように,突き出しノズルの開孔角を 45o にしてある.吸入流れを接線的にすると,シリンダ壁温が下がり,それにつれて圧縮上死点でのチャージ温度が低くなることを避けたのである.また,スワールの付与というよりはむしろ,クリームを落としたコーヒをスプーンで stir するが如くに,穏やかな旋回撹拌作用をチャージ与えるのが目的である.

 弁がシリンダ壁からかなり後方にあり,弁が閉じられた後もシリンダ壁の一部に凹型狭隘空間を残すので,膨張行程後半まで観察しなければならない現象を扱うことはできない.

 この配置でなされた実験の結果は 低温度自着火への混合気流動の効果 として別のページに置く.


 ピストン圧縮では,初圧を変化させても,ピストン圧縮行程での状態変化におけるポリトロープ指数 n の変化はほとんど無いという特徴がある.温度履歴をほとんど変えずに圧力履歴のレヴェルだけを上下させることができる.


Still not fixed.


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