Renault Lutécia Related








 車齢 11 年まぢか VW B5 Passat の信頼性がやや低下しているとの感触の下,エアコンディショナの冷媒コンプレッサが逝ってしまったので,廃車を決意,Passat から Bora へと使用者/使用車を玉突きでずらせて,新たな一台として Renault Lutécia, 2006 年式,既走行距離 4,000 km,右ハンドル,AT,5-ドア なるものを調達した.なんとかメーカの三年間補償の内側に八ヶ月を残す.また,欧州車としての外装 Blackout (Blackout というのは窓枠などを含め,外回りに "クロームのモールが全く付いて無い" という意味.Solid-colored と同義) の基本条件を満たしている.

 Lutécia は我国だけの名付けであり,外では "Clio",今回のものは 2005 年からの三代目 "Clio III" にあたる."B" Segment に属する小型車のはずであるが,Clio I, Clio II と違い,幅が 1720 mm もある "C" Segment なみであって,"5" ナンバーではなく,"3" ナンバーになる.Tread はやや狭いものの, Wheelbase は VW Jetta のそれと同一である.

 いまなぜ Renault を選択するか,怪訝に思われるであろう.伝説となっている Patrick le Quement パトリック・ルケマンのデザイン,おそらくこれを最後にその片鱗を味わうこと,ならびに,これ以上簡素にはできないと思われるのに操縦安定性に優れるサスペンションを実体験すること,が主目的である.選択の対抗馬は Fiat Grande Punto, 1.4 Dualogic.性格的には充分近い.ただし,VW から Fiat へ移行するなら,そのボディ剛性に決して不満を持たないと自制しておかねばならない.物色して適当なものに当たらなかったので,こちらの選択肢は消えた.

 Renault のことはその 年次報告 を見ればかなりのことが分かる.2007 年に Flins 工場で Clio III は 203,811 台生産されたとある.全世界での Clio III の車種別総生産台数は 2006 年: 373,672 台,2007 年: 330,571 台である.

 Renault 車輌についての適確な情報源が多くないのはありがたくない.情報に関しては,米国へ輸出されていないことが致命的である.そうした環境下において,Web site: planeterenault.com はフランス語ではあるが,ニューズ出しは早く,内容も悪くない.2008 年 9 月に,Clio III, phase 2 が発表されたことも,遅滞無く,早期に報じられている.Phase 2 は 2010 年 2 月末,我国に導入された.車輌のスペックを確認したりするには,同じ右ハンドルということもあって,英国ルノー がよい.我国に来る Phase 2 のホイールが 'Del Arte' であるというようなことが分かる.



 フランス,ルノーの Web site で見ると,Clio 5 Portes, Dynamique 1.6 16V, BVA proactive に相当し,車輛価格は TVA comprise であろうものの 17840 €,これに Radiosat 80W, CD avec lecture MP3: 120 € を加えるとおよそ 18,000 € になる.(BVA: boîte de vitesses automatique)

ABA-RK4M, Lutécia/Clio III, 1.6 VVT, Blue Gray Metallic: J47

 全長×全幅×全高: 3990×1720×1485 mm
 ホイールベース: 2575 mm, 車重: 1190 kg

 Mégane II で採用された技術が多く取り入れられている.エンジンについても,先に Mégane II にも使われているものである.電動スロットルバルブや電動ステアリングアシストなど,かなりの程度に最近の潮流に沿っている.

エンジン型式: K4M 801, ボア x ストローク: 79.5 mm x 80.5 mm
 圧縮比: 9.8
 最高出力: 82 kW (112 PS) @6,000 rpm,
 最大トルク: 151 Nm (15.4 kgm) @4,250 rpm
 要求オクタン価: 95 RON

 この K4M というエンジンの性能は RRI の実測で右図のようであり,素直な特性である.とびきり高性能というわけではないが,1.6 Liter の自然吸気エンジンとしては,最大トルク,最高出力ともに他と較べて遜色ない.1,500 rpm でトルクが上がっているのが良い.Delphi による Vane-type Cam Phaser なる 可変吸気バルブタイミング機構 VVT* がついていて,これでアイドル回転速度を下げる効果もあるという.

 点火系は,シリンダごとに点火コイルを持つ Direct Ignition 方式であるが,これが,案の定というか,すでに問題を起こしていて,リコール:外-1388 となっている.

 "クランクシャフトからトランスミッションへ振動が伝わることを防ぐため採用された直径 240 mm のツインマスフライホール" とあるのが何のことか分からなかったが,どうやら LuK の Dual-Mass Damping Flywheel のことらしいと知れた.Renault の説明では,Cabin noise, vibration and harshness is reduced by use of a twin-mass flywheel damper which reduces boom at low engine revs. The flexible engine flywheel is thinner at its centre than that at the rim. This difference in thickness allows the vibratory mode of the engine's rotating assembly to be decoupled from that of the powertrain assembly, ultimately resulting in a reduction of 2 decibels inside the cabin. などとなっている.


Fault Code "Check Emissions"
 2011 年 6 月上旬,累積走行距離 16,000 km あたりで "Check Emissions" の表示とともに,恐ろしいスパナマーク が点燈した.一晩駐車し,充分に常温まで下げた後に再始動しても警告の表示は消えない.ディーラに入院しての Diagnosis "Clip" では,カム軸センサ,VVT Dephaser Pulley あたりに問題ありとの記録が残っていると聞かされた.とりあえずリセットし,警告表示を消してもらって様子を見るも一週間程度で再度,再々度発生.

 "Check Emissions" の表示が出たからといって,排出ガスが問題であるという意味ではなく,これは,排出ガス浄化三元触媒,O2 (Lambda) センサなど,直接排気と関係するものから,点火プラグ,点火コイルなどの前段階のものまで,極めて広い範囲の不具合について警告を発する Code であるらしく,Diagnosis "Clip" でなければ,不具合箇所のおおまかな特定すらむづかしい.

 "Renault" & "Check Emissions" をキーワードに検索してみると,2008 年くらいに Scénic の K4M エンジンで,Dephaser (variable valve timing pulley)* 関連の故障とその修理費用の受け持ち割合で揉めている例がいくつも出てきて,同型のエンジンであるだけに心中おだやかでないという状況になった.右の図がその部位である.黄色の Oil Filler Cap の左隣に見えるのが Camshaft Dephaser Solenoid Valve (4) である.しかしながら,そこが故障しているなら,症状として "Cold Start Rattle",つまり,始動時ないしアイドリングで音が出るらしい.

 今回は "Check Emissions" の表示が出るだけで,そうした症状は全くなく,普通に走行できる.Fault Code をリセットした後に再度表示が出る時期は往きではなくて,行き先で用を済ませた復りに,走り出して数分経過というときであって,それには再現性があるから,部品まわりの温度が上がってなお周りの空気が淀んだあとに発現すると解釈された.


 アイドリングで音が出ないことでもあり,ここはこの系列のもうひとつの重要部品 "Camshaft Position Sensor" を疑い,8 月上旬にそれの交換となった.Renault Part No.: 82 00 285 798.右の写真がそれである.部品の入っていた箱にあった名称は "Sensor a accel",ものはフランス製で,菱形マークが刻まれている.ディーラでの価格は ¥11,500+税.1€ が ¥150 くらいで換算されている模様.ドイツ語では Nockenwellen-Impuls-Sensor となっている.交換後,スパナマークの洗礼を受けなくなった.

 上述の Solenoid Valve が正面から見たエンジンの左側にあるのに対し,これは右側にある.Dialogys でなら MR392CLIO8, 88A-44, Engine Wiring に出ている.この部品は General Motors 93179803, Nissan 23731-BN701, Nissan 23760-00QAB, Nissan 23760-00QAD, Opel/Vauxhall 4415077, Renault 7701058077, Renault 8200033686, Suzuki 33220-84A00-000 と互換性があるという.これらがすべてフランス製であるのかどうかは明らかでない.eBay UK で見つかる Nissan 23760-00QAB などは同一品であると思われる.£32 くらいである.国内のルノーディーラにも手持ちがあったし,一般市場にも数多く出ているところをみると,交換部品として高い頻度で使われているもののようである.


 Camshaft Position Sensor には Hall 素子を使ったものと Inductive 誘導型のものとあるが,これは Inductive であると思われる.出力波形などについては Pico のページ に詳しい.

 * この VVT,Cam Phaser は Renault としては最初の Cam Phaser 採用であり,ものは Delphi 製である.Delphi としては最初の Vane-type Cam Phaser であるとのこと.NMVEG cycle でおよそ 2% の燃料消費低減,3-8% のトルク向上,150-rpm のアイドル回転速度低下が得られるという.最適角度は,回転速度,負荷,冷却水温度などに応じ Look-up Table を参照して決められる.



自動変速機,Automatic Transmission

 "マニュアルモード付きプロアクティブ電制 4-段 AT, Auto-Adaptive Learn, Proactive Automatic Gearbox with Flick-Shift Sequential Selector" という表現がなされている.Peugeot-Citroën, Peugeot Société Anonyme: PSA と Renault ならびに Siemens とで共同開発されたもの."AL4" は PSA での呼名,Renault では "DP0" と呼ばれる.下の図がそれである.

 シフトパターンについては ここのまとめ が分かり易い.2-, 3-, 4-速の各速で Lock-up するとある *.現在 Renault には,1.6-liter 以下のエンジンとの組み合わせとしては,トルクコンヴァータ式の自動変速機としてはこれひとつしかリストアップされていない.1.6-liter 以上には同じく Proactive で SU1, SU4 もある.Automated Manual Gearbox なら 5-段の "Quickshift": JH1, JA3, JA5, 三種類ある.

 型番は同一の "DP0" でも機種によって,Clio II: DP0-085, Scénic 2.0: DP0-013, Laguna: DP0-062, Mégane 1.6: DP0-050 などと詳細は異なるようであり, この Lutécia については DP0-074.適用トルク容量は大きく 330 Nm あって,質量は 70 kg となっている.K4M エンジンの最大トルクは上記のように 151 Nm なので,半分以下のところで使っていることになる.CAN Bus でエンジン ECU と通信する.マニュアルモード Flick-Shift Sequential Selector は Porsche Tiptronic System と同じものであると思われる. VW A5 Jetta で常用しているので Tiptronic には違和感はない.

 * "Scribd" という free, web-based, document sharing community があり,そこに ericsolver というハンドル名の人から,2008 年 10 月初めに Citroën AL4 の英文説明書 が Upload された.発行元は Citroën UK である.文書に日付の記載が無いが,pdf 化は 4/28/06 になっている.各変速段でのギア配置なども詳しく出ている上,図面も美しい.もちろんギア比の絶対値などは車種によって異なるので,そのまま受け取るわけには行かない."Scribd" には他に,ルーマニア語ながら,Renault "Logan" の膨大な修理書もある.

 この DP0 は,VW Vento についていた,学習機能のある "01M", ファジー制御 を思い起こさせる.アクセルが緩んで速度が低下する過程でも,順次ギアを下げ,必ずエンジンブレーキが効くという方式などについても共通性がある.アクセルを離したあとの転動距離が小さい.1990 年代,欧州ではこういう思想が一般的であったのであろう.Renault の "AD4" という自動変速機は VW との共同開発であったらしく,そうしたことの影響があるものと思われる.2006 年にモデルチェンジされた車輌に 1990 年代のものをそのまま載っているのである.直接関係ないかもしれぬが Three-Box Clio: Symbol/Thalia というのも存在するらしい.右の写真がそれであるが,一見そのまんま VW Vento である.特に後ドアから後端への流れがそっくり.もっとも,これは Clio II からの派生である.フロントマスクからそうと知られる.2008 年 9 月に発表された後継新型車は B5 Passat に似ている.

 Peugeot でも 206, 306, 307, 406, 607, 806 などにこのプロアクティブ電制 4-段 AT: AL4 が搭載されてきた.最近我国に上陸した Peugeot 308 に搭載されている自動変速機がまだこの "AL4" であることでおおいに物議を醸しているようである.Citroën では Xsara, Xsara2, Xantia2, C3, C4, C5, C8 などに載っている.

 Lutécia/Clio III 購入にあたっての最大の懸念はこの自動変速機 DP0 にある.Scénic での ATF 冷却不足はよく知られた瑕疵であって,ユーザは困り果てたと聞くからである.ATF の種類や交換/不交換などについても混乱を招いたし,それはいまも続いている.いくらかについては 改善対策届出 もなされている.

 Shift-Up/Shift-Down 時期の奇妙さは多くの人が指摘しているとおりである.実際に乗ってみると,国道で前が空いているような場合に問題が生じることはない.2,500 rpm 近辺で次々と Shift-Up し,55 km/h あたりで 4-速に入って 2,000 rpm 以下に下がる.加速中に Shift-Up させたければ,すこしアクセルを緩めれば素直に対応してくる.減速時もそれほど早急に Shift-Down してくるわけではない.長い坂を登り降りしてみると分かるが,頂上付近で Top に入ったままアクセルを緩めて下るなら,下りの長い距離を Top のままで走れる.先行車がいて,徐々にブレーキをかけていると,速度低下と共に適確に順次 3-速,2-速へと落ちる.これは小気味よい.市街地で運転免許教習車輛の後に付いたような場合には,加速しようとしているのか減速しようとしているのかの判断に迷うのであろうか,明らかに奇妙さを実感できる.我国で主流の,Slip 制御がなされるトルクコンヴァータ式自動変速機とは考え方が違う.手動変速機で加速して行くときの,エンジン回転速度と車輛速度の経緯に近い.

 ゼロ発進だけをオートマティックで出て,すぐに Tiptronic に入れ,2,000 rpm を越えたら Shift-Up,1,500 rpm より落ちたら Shift-Down というように走ってみても違和感がない.1,500 rpm で充分トルクはある.高速道路を走ると五速目が欲しいとは思う.


Fault Code "Check Gearbox"

 2008 年 7 月末,累積走行距離 4,100 km から使い始めて 500 km も走らないうちに,名にし負う DP0 の "狂い" を早速経験させられた.外気温 39o C のもと,国道 153 号線,植田中北から天白高校東へと登り,梅森西へ降りて行く行程で,車速 55 km/h,Tiptronic 四速で,勘定ではあり得ないエンジン回転速度 3,000 rpm,アクセルにエンジン回転速度が追随しない.アクセルを緩めて坂を下り,その先で停めて給油し,再始動したら収まっていた.東京ビックサイト西館に設置されている日本オーチス製エスカレータと類似,安全率 1 以下と言わざるをえない.その後,お定まりの "Check Gearbox" の表示が出てディーラに入院.Diagnosis "Clip" には "タービン回転速度信号欠落,通信無し" の記録が残っていた.12 日間預けるも,原因・問題箇所は特定されず,とりあえずタービン回転速度センサを交換してもらって様子見とする.年も改まった 2009 年 2 月中旬,サービスキャンペーンの案内が送られて来て,"トルク・コンバーターと自動変速機潤滑油冷却器を良品に交換する" という.潤滑油ではなく作動油というべきものと思うが,いずれにせよ,"冷却器の油流を妨げるおそれ" が "おそれ" だけでは済まなかったということであろうか.この段階で累積走行距離 6,500 km.
 この件については,下のリコールの欄に記した サービスキャンペーン "トルクコンヴァータ", 2009 年 2 月 での処置により解決し,この年の夏には,前年と同様,外気温 39o C を,2010 年には 43o C を経験したが,何のトラブルも無く乗り切れた.


認証されている ATF,Approved ATF

 取扱説明書などを見ると,ATF については,"Sealed for Life", "Fill-for-Life", "Sealed with Lifetime" が出てき,整備記録簿に 60,000 km 走行でチェックとなっている.それにしても,DP0/AL4 の ATF については種々に記事があり,互いに矛盾していて,大いに混乱がある.

 ATF のエンジンオイルとの大きな違いは,まずたいてい,異なる ATF のあいだでの互換性が低いこと,そのうえに,Drain Hole を開けても全量は排出されず,必ず何割かが残ることである.このふたつの性質ないし特徴のゆえに,最初に充填されていた ATF と異なる ATF に交換しようとすると,短期間に少なくとも三度くらい抜いては入れるという操作を繰り替えさなければ交換したことにならず,異種を混ぜたことで終わる.1 Quart, US$ 3 というような世界なら数度の廃棄/充填が可能であるが,一桁近く高価ではとてもそこまではできない.異種 ATF が混じることで生じる危険を避けるなら,抜いた旧液量だけ初期充填と同一の新液を補充するよりない.

 "Dexron ATF でなら上位互換性が成立する" というのは GM 製のトルクコンヴァータ式自動変速機のうちの限られた機種についてのことであって,一般的には,箇々の自動変速機について異なる ATF 間で上位互換性が認証されていることは多くない.

 DP0 への指定 ATF は "Elf RenaultMatic D3 Syn" である."Technical Note 6012A TTY Gearbox and final drive oils", には Warning: Gearboxes may be seriously damaged if the recommended oils are not used. とあり,また,Automatic gearbox oil: Specifications 04A-5 には Elf RenaultMatic D3 Syn is not a replacement for Elf RenaultMatic D2. とある.さらに,ATF の変速機への適用について次のようになっている.

 Elf RenaultMatic D3 Syn -> DP0, (P/N: 不明.詳細はディーラにとある.Dialogys にも油脂類はこの NT6012A を参照と記述されている)
 Elf RenaultMatic D2 / Mobil ATF 220 -> MBx/AD4/AD8/AR4, (Dexron II D, P/N: 77 01 402 037)
 Esso ATF LT 71141 -> Laguna/Safrane/Espace - LM0, (P/N: 77 11 172 226)

この文書は Dialogys の補完文書で,2004 年に記述されているが,ここでは Esso LT 71141 が DP0 に使えることにはなっていない.一方,Citroën Car Club of NSW の文書 に Esso LT 71141 を使えとの指示がある.外挿してのことであろうか,Dexron III H-Licensed なら Esso LT 71141 相当であり,それが DP0 に使えるとの言辞をいくつか見るが,それらは単に噂というものにすぎず,明確な根拠をまだ見いだせないでいる.Multi-Vehicle ATF の範疇でのことか.

 指定 ATF: Elf RenaultMatic D3 Syn の仕様が分からないので,DP0 への認証を受けている (Approved) 市販品を探すと,

 ElfMatic G3 Syn, Semi-Synthetic Fluid
 
Dexron III G, Allison C4, Ford Mercon, MAN 339 Type F, Mercedes Benz Page 236.5, Renault DP0 & SU0, Voith 55.6335.32, ZF TE-ML 14B & 16L

があって,これが Elf RenaultMatic D3 Syn 相当品であると考えられる.部分合成油である.Dexron III G, Allison C4, Ford Mercon などとあるのは,それが指定されているものに ElfMatic G3 Syn を入れてもよいということであって,Dexron III G が ElfMatic G3 Syn と同じであるという意味ではない.左から右へは許容されているが,逆が常に成り立っているという表現はない.また,ElfMatic には上記の G3 Syn 以外に下記の G2 Syn があるが,こちらの方は全合成油でありながら Renault DP0 への認証は無い.そのうえ,Elf RenaultMatic D2 相当品でもないようである.

 ElfMatic G2 Syn, 100%-Synthetic Fluid
 
Dexron II E, MAN 339 Type D, Mercedes Benz Page 236.8, Voith 55.6336.32, ZF TE-ML 09, 14C & 16M

 他方,Renault "DP0" と同設計,Peugeot-Citroën: "AL4" の指定 ATF は Exxonmobil/Esso ATF 4HP20/AL4: PR 9736.22 であって,これは Exxonmobil/Esso ATF LT 71141 そのものである.上記のように Citroën Car Club of NSW の文書 で Esso LT 71141 を使えとあるのはこういうことである.しかしながら,Elf RenaultMatic D3 と Esso LT 71141 との間に互換性があるという根拠はなく,規格を見る限りむしろ別物である.Renault "DP0" に Esso ATF LT 71141 を充填して問題が無いのかどうか,はっきりさせたいと思うが果たせない.なお,Esso ATF LT 71141 も部分合成油である.Citroën P/N: Z 000 169 756, Fully Synthetic ATF という記述もあわせて見受けられるが,これだけが本当に全合成油であるのかどうかは分からない.

 ATF にはこうした煩雑さが付きまとっているが,ひとつの ATF で広い適用範囲を謳う,Multi-Vehicle ATF と呼ばれるものが出てきている.本当に汎用性があって,異種変速機でもそれぞれ相性に問題が無いのかどうかは知らない.Mobil Multi-Vehicle ATF などがその嚆矢である.ConocoPhillips/Kendall VersaTrans ATF などはその仕様を見るかぎりではなかなかのものである上,これについてなら詳細な 適応表 が出ている.ただ残念なことには,これらは米国での運用を目指しているためか,米国に入っていない Renault, Peugeot, Citroën などの仏車については言及されていない.それゆえ,幸いにもと言うべきか,安心してこれを使うことはできない.我国に輸入されている Kendall Classic ATF は VersaTrans ATF とは別物,性能で一等級低いものであるのみならず,2005 年以前の変速機用と記されていて,なおさら適用外である.我国,正規ディーラの一部で推奨するという A.S.H. とか NuTec とかの ATF もこの Multi-Vehicle ATF の範疇に属するものであると思われるが,仕様や適応範囲,適応性の根拠が公表されているものではない.これでは ATF の性能についてのみならず,変速機への攻撃性/変速機の耐久性などについて工学的見地から評価できるレヴェルに無く,工業製品としての Accountability 欠如としか言いようがない.部外者にも性能向上の再現性や根拠が机上で予め知り得るというのが工学の基本である.純正油に問題があると判断されるなら車輌メーカにクレームとして挙げるべきものを,単なる対処療法で済ませるそうした輸入元ならびにディーラの無責任をここで問う.その療法が工学的に正当であるとの根拠を示せ.



解決に手間取った故障,実は変速機そのものとは無関係

 DP0 は名にし負う面倒な変速機なので,自動変速動作が正常でないと,コリャ変速機のどこかが壊れたワイと思い込んでしまう.車齢 9 年に近づいたとはいえ,累積走行距離は僅かに 26,000 km である.以下はそうした思い込みゆえに,問題の解決が遅れた一例である.DP0 での故障はまず "三速固定" で "Check Gearbox" が点燈というものであるが,これはそれらとは全く違う.

  1) 一速・二速は正常.一速から二速へは普通に上がる.
  2) 三速に入りにくい.3,000 rpm 以上にならないと三速に入らない.
  3) Key On から始動の後,ほんのしばらくは 2,200 rpm くらいで三速に入る.しばらく加速減速を繰り返すと (2) の症状になる.
  4) そのままでは回転が上がり過ぎて走りにくいので,Tiptronic で三速に入れ,その後適当なところで四速に入れる.
  5) Tiptronic に入っていても,車速が落ちてくれば自動的に二速に落ちる.
  6) Tiptronic に入っているとき Lock-up とならない.三速・四速で Torque Converter 動作のまま.
  7) Tiptronic で四速に入れているときなどでは,エンジンにトルク感がない.Auto の一速・二速では正常のトルク感がある.
  8) "Check Gearbox" の警告灯は点かない.
という症状に陥った.かなり長い期間,遠出には乗らず,近いところへ行くだけにして Tiptronic を使って運転していたが,車齢 9 年の車検を受ける時期が近づいてきたので,とりあえず見てもらうことにした.そのときの試乗で症状確認のあと,偶然に後部ストップランプが点きっぱなしになっていることが分かった.それまで気付かなかったのはなんとも迂闊なことであり,自分の馬鹿さ加減を再認識したが,エンジンを切って車から降りていたということでもある.ブレーキペダル Active の信号が変速機の ECU に送られているのなら,ブレーキペダルが踏み込まれているからもうすぐ止まるつもりであろうと変速機は判断して Shift up しないというのは当然のことであろう.一方向への思い込みは判断力を麻痺させる.

 問題の部品は Renault Part No.: 82 00 276 361 (B), Stop Light Switch といい,ブレーキペダルのレヴァ位置を On/Off で検知するためのものである.もともと,この部品はリコール,平成 19 年 5 月 16 日 " 外-1399" で交換されていた.そのときのリコールの内容は接点が焼けて固着するというものであったが,今回の瑕疵はそれとは異なる.ブレーキペダルレヴァに接触する突出長調整用,多条切り込みの山と谷が舐められて,力を受けたとき,正常な突出部長さを維持することができず,短く引っ込んでしまうということで使い物にならなくなったのである.Renault 品質.伊 Vimercati 製.

 修理書 Dialogys では "37A, pp. 79-80", Mechanical Component Controls, Brake Pedal Switch: Removal - Refitting" ページが該当し,そこに交換手順が出ている.そこには,交換のとき,まず突出長さ (上図の X) を厳密に "19 - 20 mm" に設定して取り付け,そのあとブレーキペダルレヴァを解放すると自然に規定作動突出長さに調整されるとある,そのとき,条切り込みの山谷を滑るのでカリッという音がし,その音の発生を確認せよという.

 純正ではなく,Third Party 製の該当品を調達してもらい,Dialogys の指示どおりに交換してもらおうとしたが,突出長さを "19 - 20 mm" にしたのではブレーキペダルを一杯まで下げても隙間が足らず取り付けられない,それゆえ,もう少し突出長さを縮めて取り付け,そこで最大限伸ばしたのちブレーキペダルを解放するということで妥協した.その結果がどうであったかというと,平地でなら Economy Mode (およそ 2,000 rpm で Shift-up), Normal Mode (およそ 2,500 rpm で Shift-up) で動作するものの,坂道を下ったその最後で制動する (その前に Down-Hill Mode に入っているのかもしれない) と,そのあと例えトロトロ走ったにしても,Sport Mode (およそ 3,000 rpm で Shift-up) に入ったままで,再び Economy Mode/Normal Mode に戻ることはないという症状となった (一旦エンジンを切って,再始動すれば戻る).ここでまたしばらく激しく悩まされた.

 "部品の故障が二箇所同時に生じる確率は低い" という経験則から,今回問題となった部品は #82 00 276 361 (B), Stop Light Switch ひとつであり,それを交換したとしても,その部品をどう調整するかは残っていると考えた.Dialogys の指示ではまず突出長さを厳密に "19 - 20 mm" にせよとあり,そこが唯一指示どおり実施されていない箇所である.なぜその長さでは取り付けられないのか.思い当たるところは,交換時にエンジンをかけていないというところである.エンジンが廻っておれば,ブレーキ倍力装置が効くから,ブレーキペダルの踏み込み代はエンジンが廻っていないときより増える.それでなら,規定の突出長さでそのスウィッチを取り付けることができる.ブレーキペダルを踏み込んだ状態からゆっくりと静かに戻すということも突出長さの自動調整を正確に納めるのに必要な操作のようである.これでようやくすべての問題は解決された.変速機 ECU はエンジン ECU とも通信しているらしく,エンジンの吹けが悪くて重いという症状もこれで無くなった.そのスウィッチは二回路内蔵,突出部の可動ストロークは 3 mm であり,ストローク 3 mm のうち,On/Off ないし Off/On は 2.5 mm と残り 0.5 mm のところで切り分けられる.ブレーキ解放時にこのスウィッチストロークが 2.5 mm の側に深く入っていないと,僅かな擾乱で容易にブレーキペダルが Active であるとして認識されてしまうようである.問題のあるときにはブレーキペダルを 3 mm 踏み込んだところで,ブレーキペダル Active になっていた.正規の手順で設定するとそこが 15 mm になる.

 このスウィッチを新しいものに交換した後にも,比較的強く制動したあとではブレーキペダル Active で残っていたということである. 最初の "(2) 三速に入りにくい.3,000 rpm 以上にならないと三速に入らない." というのも,後半で知った "Sport Mode (およそ 3,000 rpm で Shift-up) に入ったまま" というのと同じことであった.修理書 Dialogys に厳密な数値が出ているときにはそれを安易に無視してはいけないと学んだけれども,残念なことに修理書 Dialogys の該当ページには,エンジンをかけて,アイドリング状態にて交換するように,というような記述は全くないのである.言うまでもないが,手動変速機つきの車輌にもこのスウィッチがあり,ブレーキランプ点燈に使われるとともに,その信号はエンジン ECU に送られる.



Key Cover

 
Lutécia III も 2009 年に Minor Change が施された Phase 2 になって,すぐ右の写真のように,ようやく Key の構造が Retractable になった.2006 年版の Lutécia III では,右奥の写真にあるごとく,Key を折り畳むことはできない.差し込み部分は細長い長方形断面の硬質金属板であり,そこに複雑な溝が刻まれている.
 この Key の先端がけっこう鋭利であって,裸のままズボンの脇ポケットに入れていると,比較的短時間でポケットに穴が開く.それを避けるために最初に自作したカヴァーが右のものである.残っていた革の切れ端を使って,現物合わせで縫ったら,意図せずしてウェスタンブーツをイメージしたようなものになった.上右のものは第二作目であるが,これは BMW Mini 用に売られているもののアイディアと意匠をそっくりいただいたもので,オリジナリティはない.Key と Cover とで Retractable になっていて,スッキリしたけれどもサイズは大きい.

 一長一短,どちらが良いともいえない.第一作は小振りで,ポケットのなかでの収まりが良い.Renault Japon の駄目なところは,こうした,本当に必要なものをオプションとして用意していないところにも見て取れる.ディーラオプションとしても出しているところを知らない.それに気づいて,Phase 2 から Retractable Key にしたということか.



点火プラグ,Spark Plug

 Renault: P/N 77 00 500 155, Eyquem: RFN 58 LZ, Champion: RC87YCL が純正指定品である.これらは我国では馴染み薄いが,どれも特別なものではなく普通の点火プラグであり,互換品は無数にある.点火プラグは腐らないので,VW B5 Passat 用 に所持しているものがすべてそのまま使える.

 右の写真は Eyquem: RFN 58 LZ の外箱,品番は Réf. 5962.5F となっている.


 車齢 5 年で Denso VK20, Iridium Tough, 中心電極径 0.4 mm,白金チップ接合接地電極,長寿命タイプ に交換した.差に気付くことはない.



タイア,Tire

Continental,
ContiPremiumContact,
185/60 R15, 88H,
重量: ? kg,ドイツ製

 内側は広く,外側は狭い 「内外非対称」ブロック.回転方向の指定はない.上に示すトレッドパターンを見ると,典型的なファミリーユースである.

 Continental の通例どおり,縦溝は三本は他銘柄に較べ,幅広でくっきりと穿たれている.

 185/60 R15 なるサイズで Load Index が 88 というのは

あまり一般的ではなく,普通なら 84 である.この LI: 88 は耐荷重強化タイプ Extra Load, "XL" or "Reinforced" である.仏人は小型車にも常軌を逸した重い荷物を積むからなのか.

 我国では Continental を好む人は少ないが,批難すべき点があるわけではない.濡れた Belgian 路を走ってみれば,ボンつかない,良いタイアであると知られる.

 車齢 4 年でタイアを交換した.同じサイズの Continental で,同じ銘柄を探したところ,すでに ContiPremiumContact 2 に Update されていて,トレッドパターンもかなり変化していた.

 VW 6R Polo に装着されて来た新品を入手できたので,それにはめ変えた.Polo のものであるゆえ,当然,南アフリカ製である.88H ではなく84T であった.最大耐荷重は 88 XL で 560 kg,84 で 500 kg である.タイア質量は XL でない,普通のものの方が軽いはずである.

 先に,廃車前の VW Vento に 9N Polo 用の南アフリカ製 Eco CP を装着していて良好であったことから,VW の品質管理を信用して,これで行くことにしたのである.

 Load Index と空気圧の関係を,久しぶりに ETRTO の表を持ち出して検討したら,指定空気圧そのもので,変えなくてよいと分かった.前 230,後 200 kPa.

 この選択は悪くなかった.乗り心地は良くなり,剛性も下がっていない.なにより,ステアの切れがシャープである.

 2010 年 2 月に入ってきた Lutécia III, Phase 2 実物を見て確かめたら,ContiPremium Contact 2, 185/60 R15, 88H,ドイツ製が着いていた.

ホイール,Wheel

サイズ: 6J-15,
ホール数: 4, PCD: 100,
ET: 45(アロイホイールでは ET: 49 も使われているらしい)
センターハブ径: φ60
重量: ?.? kg

ホイールハブボルト:
M12×1.5, 首下: ?? mm, 着座テーパ角は 70o か?

 純正ホイールの出物は鉄ちんですらほとんどない.

 185/60 R15 88H XL に拘るなら,Michelin Energy Saver.他には,Federal Formoza FD1 /FD2,Nangkang XR-61 など.


 車齢 9 年となる少し前に,前輪だけ "Michelin Energy Saver +" に交換した.後輪の溝深さはまだ 5.5 mm ある.


バッテリ,Battery

 Renault: P/N 82 00 253 616, Tudor: 565 072

 Tudor とはまた奇特な名を目にする.この人/会社は鉛バッテリの発祥なのである.ただし,現在は Exide の一銘柄であることはよく知られているという.Exide は欧州で Tudor, Centra, Fulmen, Sonnak, Deta の五銘柄で市場展開しているらしい.フランス車の初期搭載バッテリはほとんど信用外であるとの意見があるのに,車齢五年まで問題なく機能していたし,まだしばらくは使える状態であった.

 278W×175D×175H,背丈が低いタイプである.電極配置: "L",20 時間率定格容量: 65 Ah,下部取付形状: "B13",ノッチ高さ: 10.5.ケースがあり,蓋の上に吸気ダクトのダンピングボックスが載るので,高さは重要.190H のバッテリは入らない.

 DIN 56527/56818 /57113, Fiamm L3B 71+, Bosch SL-7H/PSI-7H, AC Delco 27-66/27-70P, Exide EP565 などが互換品である.互換品は国内で種々出まわっており,容易に見つかる.AC Delco 27-63H は下部取付形状: "B14",ノッチ高さ: 19 なので不可.

 2011 年 4 月,車齢五年,二回目の車検にあたり,この Tudor 565072 バッテリに問題はなかったものの,あと二年は保つまいと,思い切って AC Delco 27-66 に替えた.

 この AC-Delco のバッテリについて,その信頼性,耐久性もしくは不良率に疑問をいだいている.新品交換後八ヶ月で始動できない事態が生じた.それがこの Lutécia だけならまだそういう疑念を抱かないのであるが,同じようなことが VW Bora に装着した AC-Delco のバッテリでも,それももっと早め,三ヵ月で起った.別品番ながら同一メーカ,複数の個体で同じ症状が出るとエンジニアリングでは再現性有意と判断する.この Lutécia に装着したバッテリに関しては,扱った修理工場が別の新品に交換してくれた.そこから AC-Delco バッテリのディーラに運んだところ,ミドトロニクス Midtronics と称する機器で CCA, Cold Cranking Ampere 相当値を求め,それで良否を判定して不良ではないとされたという.当方の本意ではないが,結局これに掛かった費用は修理工場が背負った.その後九ヵ月経過するが,問題は生じていない.これなら,もうしばらく Tudor 565072 バッテリを使いつづけていたらよかった.VW Bora に装着した AC-Delco バッテリでも,上述のように,数ヶ月で始動不能があり,その後二ヶ月を経ずして再び始動不能となった.こちらは通販で調達して車輌ディーラへ車検整備時に持ち込んで交換してもらったものなので,この再度の始動不能をもって破棄とした.車輌側の瑕疵によるバッテリ上がりであるのかどうかを判定するため,安価な新品バッテリ Atlas 56219 を装着して様子をみている.価格は AC-Delco のそれの半額程度である.交換後異常なく六ヵ月経過した.これで AC-Delco バッテリの高い不良率を思わずにいられようか.バッテリには購入時に保証書が添付されているものの,問題が生じたと申告して無償交換に応じてくれることはないのではないか.買ったところへ送り返すのも容易ではないし,良否判定に時間もかかり,その挙句に不良品ではないと言って戻されるのが落ち.その間,車は使えないのだから,そんなことをしているくらいなら,悪いものにあたったとしてすぐに別のものを買う方がましである.


 

オーディオ,Radio/Audio

 装着されているのは 22DC277/62 というもののようであるが,まだ実物について確かめてはいない.外観を下に示す.同じ型番でもいくつかの亜種がある.この Head Unit には文字の表示が出ず,すべて Head-Up Display に表示される.Opel の TID/MID と同じようなシステムである.このシリーズはかつて Philips 製であったようであるが,近年のものは Vereinigte Deuta OTA: VDO 製らしい.Philips のカーオーディオ部門は VDO に吸収された模様.操作ボタンが Diagonal 配列になっているところが新鮮である.

 当方に来たものでは,CD Player が MP3 対応になっていた.これはなによりありがたい.MP3 に圧縮して CD-R に焼くと,通常の CD 7 枚分くらいが一枚になるので,CD Changer を用意しなくても済む.なお,スピーカを含めた全体の音質は褒めるほどのものではないのは残念である.

 VW Jetta の Head Unit については,我国では MP3 対応のオプションがないうえ,CD Changer が特殊かつその設置が容易でなく,困っているからである.VW Bora には Sony 製 MP3 対応の CD Changer を使っているが,それはそれで過剰装備である.

 Head Unit 後端にあるコネクタは,下の図で分かるように,従来の欧州車に共通の三段式のものである.交信用の結線配置は近いものが Lublin 工科大のページ にある.



  Head-Up Display とだけでなく,ハンドル右下にあるレヴァとも交信する. Stalk Control と呼ばれる.

 この MP3 対応 CD Player が Sony の CD Changer より優れている点は,Folder を扱えることで,元の CD 一枚をひとつの Folder としておけば,何枚分かの中から望みの CD 相当 Folder を選択することができる.演奏中の曲の File 名を Head-Up Display に表示させることも可能である.

 見た目が同じ Diagonal ボタン配列の Head Unit では,MP3 対応と非対応に分かれるだけでなく,Tuner List と Update List にも分かれる.Update List / Tuner List の差はアナログの Auxiliary 入力: AUX を持つか持たないかの差であり,両者どちらも CD Changer をサポートするという.ただし,こちらの音声入力は通常の analog ではなく,S/PDIF と呼ばれる digital 信号である.詳しくは "Connect AUX input on Renault Update List HU.pdf" なるファイルにある.さらに,AVForums における "ian" の記事 によると,"Update List" は Two-Wire CAN-Bus Interface であるのに対して,"Tuner List" では時計情報とデータとで別々の線を使って Head-Up Display に送る.そういう理由で,これら二つの Head Unit はコネクタレヴェルで互換性がないと指摘されている.なぜ Update List / Tuner List というような名称が使われているのかは分からない.どちらに属するかは Head Unit のおもてに表示されている.MP3 対応かどうかも "MP3" の文字がおもてにあるかどうかを見れば判別できる.左上の写真にある Head Unit は MP3 対応,右上の写真は Tuner List のそれと知れる.

 この Head Unit が特徴的なのは,日本向け Localized 版なのではなくて Worldwide に通用することである.我国ラジオの周波数帯域は,世界でも唯一と言えるほどに,諸外国で広く採用されている周波数帯域からずれている.欧州や米国で車載の Head Unit を持ち帰って装着すると,受信できるのは AM, FM でそれぞれせいぜい一局という状況である.それがこの Head Unit では受信周波数帯域を選択できるようになっていて,どこにでも合わせて選択可能である.



ワイパー,Windscreen Wipers

 フロントグラス用はいま流行のエアロワイパーである.サードパーティもの* は国内ではほとんどない.ゴムだけの交換ができるかどうか,汎用品で該当する替えゴムがあるかどうかを調べるには,いま付いているものを外してしっかり見ないといけない.まずは同等品のブレードを購入してそれと取り替え,古い純正品をじっくり眺めるのが無難と判断し,フロント用に Direct Replacement, Exact Fit Flat Wiper Blades, Renault Clio 2005-2008, 24", 600 mm and 16", 400 mm というものを英国の eBay にて, で購入した.その名も Discount Car Products という店である.ブレードのメーカ名は表示されていない.元のものと形状,幅,コネクタなどが一対一で,単に差し替えるだけで済む.速度 200 mph, 320 km/h 保証とある.本体価格 £14.99,送料 £8.75.折しも,スターリングポンドが ¥140 となったところなので,¥3,400 くらいである.これなら替えゴムを調達するのと大差ない.Please allow up to 7 working days for delivery. とあったが,発送したと聞いてから到着まで正味 11 日かかった.ただし,これについては,ゴムの耐久性に問題があり,短期間でブレードからゴムのエッジが長手方向に裂けて千切れてきた.お奨めしない.別途,リアワイパーも一緒になった三点セットも見つかる.こちらは価格 £21.00,送料 £4.00 で購入できた.先のものほどではないが,これも寿命は長くなかった.ドイツの部品メーカ Heyner GmbH が Alco という Brand で出している Multi-Fit Flat Wiper が前,左右二本,送料を入れて £20 くらいで入手できる.Clio 用の Bayonet Adapter 付きを注文する.一週間で着いた.拭き取りは純正品に勝るとも劣らない.耐久性も高い.あわせて,ゴムだけの交換も容易にできる構造と知られた.マルエム工業のアクティヴソード用などが嵌まる.
 * Bosch: 3 397 007 118, A118S がそれ.英国で £30 くらいで売られている.国内定価はなんと ¥10,920.

 純正品は Valeo 製と聞く,品番は #77 01 061 593 / #77 01 063 182,国内では ¥4,700 + 税 とのこと.左右二本ではなく一本の価格らしい.あまりなこととの苦情で ¥3,600 + 税 になったとの噂もないではない.英国 eBay で捜して,Carparts Mountain というところから買った純正品は,#77 01 061 595 / #77 01 063 182 であった.それぞれ本体 £15.99,送料 £4.00.左右二本がひとつの箱に入ったものの品番は #77 11 421 792.純正品であるからとて長寿命というわけではない.Valeo 銘柄そのものでも売られており,VM323 がその型番である.英国 eBay でも上の無銘品の倍くらいの値段.Wiper Blade はフランス語では Balais essuie-glace.

 なお,この車のフロントワイパーアームはわずかしか持ち上がらない.洗車の際にワイパーアームを 90o 折って,フロントグラスから直角に離して立てるという通常の操作はできない.ルノーの他の車種についてもこういう仕様なのかどうかは知らない.

 リアワイパーについては,エアロワイパーではなく,従来型のものなので,汎用品替えゴムを入手すれば済む.最も一般的な,6-mm 幅,長方形断面 (台形断面ではない) であればどれでもよい.呼び寸法長さは 350 mm であろう.それそのままでも着かないわけではないが,ゴムの実寸は 347 mm しかなく,固定端の形状によっては両端隙間が左右均等にいかずに,解放端側が空いてしまうことがある.呼び寸法長さ 400 mm 以上のものを調達して,嵌め込んでから現物合わせで切断する方がずっとよい.実寸 355 mm 残して固定端を切り離せば,ぴったり合う.ワイパーゴムがブレードフォルダに固定されないが,ブレードフォルダの両端が囲いになっているので差し支えない.もともとそういう取り付け方になっている.もとのゴムの長さは 347 mm であるとしても,355 mm の方がよい.純正ワイパーブレード品番は #77 11 422 568,¥3,600 + 税 らしい.日産の部品に同等品があるともいう.



駐車灯,Parking Light

 VW 車では,エンジンキーが抜かれた状態でウィンカーレバーを倒すと,倒した側の車幅灯ランプが点く.ウィンカーレバーを倒した後にエンジンキーを抜いても同じようになる.店の前に五分間ばかり車を停めて,電話で頼んでおいたものを受け取る,というようなときに,夜間はもちろん昼間でもこの機能を活かしている.短時間で済ませますよとの意思表示を兼ねて.

 Renault Lutécia III では,店の前で停車してエンジンキーを抜くと,前照灯や車幅灯 (スモールランプ) など,ハザードランプ以外の灯火はスウィッチの位置にかかわらず,すべて消える.VW 車のように,片側の車幅灯ランプを点けておくという機能はない.

 昭和 60 年頃まで,装備義務があったため,駐車灯なるものが車輌に装備されていたものであるが.昭和 61 年の運輸省令第 3 号で装備義務が外され,駐車灯はフォグランプなどと同じ任意灯火として扱われるようになった.ただ,現在でも道路運送車両法第 37 条の 6 に駐車灯の要件は規定されており,片側のみの点灯についても, 第 37 条,第 2 項,第 3 号に定めがある.

 夜間道路上駐車時点灯義務の規定は,道交法施行令,第 18 条,第 2 項 (平成 11 年改正) にあり,「夜間,道路 (歩道または路側帯と車道の区別のある道路においては,車道) の幅員が、5.5 メートル以上の道路に停車し,または駐車しているときは,車両の保安基準に関する規定により設けられる非常点滅表示灯または尾灯をつけなければならない」となっている.ここの "非常点滅表示灯" とはいわゆるハザードランプのことであろうが,Hazard とは他からの援助を乞わなければならない状況をいうので,"えんこ" したときや事故などの非常時に点滅させるものと認識するゆえに,正常時に点灯するのを憚る.それで "尾灯" をということになり,これが本来の駐車灯である,しかしいまやそれはないという状況である.駐車灯装備義務解除は車幅灯で代用せよとの官憲のお達しのように読める.幅員 5.5 メートル以上の道路でしか点灯義務はないが,道路幅員 5.5 メートル以下に駐車すれば,たいていは残り幅 3.5 メートル以下でしかありえず,道路交通法第 45 条,第 2 項の 2 で "無余地駐車違反" になる.

 さてこの Lutécia III であるが,上述のように,エンジンキーを抜くとスウィッチの位置にかかわらず灯火はすべて消える.それで,駐車灯をどのように点けるのかというと,エンジンキーを抜く前に消灯位置まで自分でスウィッチを動かし,そのあとエンジンキーを抜いて,スウィッチを車幅灯 (スモールランプ) 点灯位置におく.これだけである.この件について,ある人からヒントを貰うまでなかなか分からなかったから,Renault Japon お墨付きの "ルノー XX" を名告るディーラに照会したのであるが,二時間後に返って来た返事は "そういう駐車灯代替え機能は付いていない / そういう仕様である / 国産車でもいまはそうなっている" というものであった.

 こうまでして駐車禁止場所で駐車灯ないし駐車灯代用品を点灯しているからといって,駐車禁止違反から免れはしない.しかし,夜間道路上駐車時点灯義務を官憲が厳密に適用するなら,夜間違法路上駐車は一掃されることであろう.ドイツでの夜間路上駐車規定は地域によって大きく異なり,来訪者には極めて難解である.片側のみ車幅灯点灯で駐車違反にならない場所が存在すると聞くが,自分でそれに該当するところに遭遇したことは未だない.



リコール,Recall

 点火コイルのリコール 外-1388 については上述したが,それ以外に,ストップランプスイッチ 外-1399,スピ−ドメーターパネル制御ユニット 外-1499.さらには,サービスキャンペーン "トルク・コンバーターと自動変速機潤滑油冷却器" も.お蔭で車輌の各部位がどんどん新しくなる.リコールやサービスキャンペーンだけでなく,故障修理や点検なども重なり,七ヶ月で通常なら五年間くらいに相当するほどディーラに通った.代車もいくつか貸してもらえたので,普段乗らない車輌を運転する体験も増えた.Twingo GT に試乗する機会まであった.また,ディーラへ往き復りで,Short-Cut Path をいくつか見つけることができた.もっとも,それらのいくつかは対向車が来たらどうするという狭隘路であったが.

 サービスキャンペーン "トルクコンヴァータ" については,ジャトコのリビルト変速機とそっくり取り替えるのかと思ったら,そうではなく,トルクコンヴァータと冷却器だけを四泊四日かけてディーラで交換するという作業であった.以前から 2,000 rpm くらいのエンジン回転速度で,ビビリ振動が共鳴するような感じだったものが,このトルクコンヴァータの交換でそのビビリが無くなった.トルクコンヴァータの管理番号刻印を強く打ちすぎたため外筒が歪んで,内部の回転羽根と干渉するとのことらしいとの情報があった.さもありなん.ボディのどこかが緩いので共振するものと考えていたが,トルクコンヴァータ内で接触があったとは思いも寄らなかった.この改修でずいぶん滑らかに走るようになって悦ばしい.もちろん ATF は全量交換されたが,併せて冷却水 Extended Life Antifreeze Coolant, XLC or ELC も交換され,40 日後に初車検を迎える車輌には好適な時期であった.とにかく,これでようやくこの車輌で,瑕疵のない初期状態らしきものの稼働状況を Reference として体に記憶させることができた.先には,保証継承点検なるものをルノー豊川で有料にて受けさせられたが,その点検とは一体何であったのか,車輌の正常な状況を把握しておらず,正常からの差を認識し得ないディーラへの不信を拭い去ることができない.新車から二年半くらい経って,同一の不具合が数例出て来てようやく製造ロットが特定されるという,それなりの走行距離を経て微細な切削片が蓄積されないと不具合が発症しない軽微さゆえとするのであろうが,正常状態の Reference があるなら,メーカ出荷時を含め,点検の際にこの不具合のもとが生じさせる特定のノイズに気付くはずである.



ブレーキ液,ブレーキフルード,Brake Fluid

 Renault ご推薦のブレーキフルードは Liquide de freins "Elf: Frelub 650", SAE J1704, FMVSS 116, DOT-4 規格のグリコール系フルードである.Renault Spec.: 41-02-001/-B.鉱油ではないがゆえにブレーキオイルという表現は適切でない.Renault では DOT-3 ではなく,必ず DOT-4 を入れるよう指示している.銘柄について,上記の Elf に強制されてはいない.

 ブレーキフルードにはシリコーン Silicone 系のものもあるが,主流はグリコール系である.グリコール系とシリコーン系とを混ぜてはいけない.ATF,エンジンオイルなどに較べて,ブレーキフルードの互換性は格段に高く,DOT-4 と謳うものであれば,知られた銘柄ならまずどれを入れても問題が出ることはないし,性能に有意差があることは滅多にない.そもそも液体であるからその体積弾性率,つまり,圧力がかかったときに体積が小さくなるその圧縮率にも大差がない.そういうことで,ブレーキフルードを別の銘柄に変えたら,ペダルタッチがかっちりというようなことは本来ない.ブレーキフルードが劣化していたのならこの限りでない.

 グリコール系ブレーキフルードはアルコールのようなものなので吸湿性という欠点を持つ.一概には言えないが,たいていは,沸点の高いものほど吸湿性が高く,賞味期限が短いという Trade-Off の関係にあることに注意が必要である.また,ほぼ全量,旧から新へと交換することができる.こうした点も ATF とは大違いである.



OAT 冷却液,OAT Coolant

 Renault 指定のクーラントは Liquide de refroidissement "Renault Boutique Glaceol RX, Type D", Spec: 41-01-001/- -S, P/N 77 11 171 589 (1-liter, -37o C まで不凍), 77 11 170 545 (2-liter, -21o C まで不凍) である.全量交換には 5.5 liter くらい必要.着色は蛍光 Yellow.これは Organic Acid Technology (OAT) Coolant と呼ばれる,長寿命有機防錆剤が入ったものである.これまでの一般に広く普及している,赤あるいは緑に着色された Long-Life Coolant, LLC と違い,水で薄めず,Premix と呼称されるとおり,原液をそのまま使うことになっている.Elf Glacelf Auto Supra やモータサイクル用に普及している Elf Moto Coolant Organic と同じものではないかと思われるが詳しいことは分からない.通常品の二倍,100,000 km, 4 年間無交換でよいとのことである.Extended Life Antifreeze Coolant, "XLC" or "ELC" のように表現されている.一般の Long-Life Coolant, LLC と混ぜてはいけない.日産/PitWork から出ているクーラントに "ルノー車専用" というのがある.それが "Renault Glaceol RX, Type D" なのかどうかはまだ分からない.

 我国ではまだ充分認識されていないが,長寿命クーラントはすでに七年前に導入されており,世界的にも近年静かに拡がっている.我国での呼称は Super Long-Life Coolant, "SLLC" が多い.古河薬品工業: 56-261,呉工業: SLLC は OAT である.ホンダ: ウルトラeクーラント (SLLC),トヨタ: スーパーロングライフクーラント (SLLC),などが "Renault Glaceol RX, Type D" と同様のものかどうかについても押さえきれていない.



エンジンオイル,Engine Lubricant

 Renault 指定のエンジンオイルは当然のことながら "Elf" の製品であり,elf Evolution SXR, 5W-30, ACEA 2004: A5/B5, API: SL/CF がそれである.合成油とのことである.15,000 km 走行毎の交換が指定されている.ディーラに頼むと,オイル単体で ¥1,500/liter + 税,ワッシャ ¥210 + 税,工賃 ¥2,500 + 税,オイルフィルタエレメントを含めた交換工賃込みで ¥12,000 くらいらしい.我国の一般市場ではこのオイルを見つけることができない.elf Evolution SXR, 0W-30 ならなんとか見つかる.

 エンジンオイルの互換性は燃料に次ぐレヴェルであるし,K4M なるエンジンは凝りに凝ったエンジンというわけでもないので,銘柄にそれほど拘る必要はない.全量交換には 5.5 liter くらい必要.オイルフィルタを交換しないときでも 5 liter くらい要るから,通常の 4 liter 缶を買ったのでは足りない.右の写真にある 5 liter 容器入りがあればまだよいのだが我国では見当たらない.量り売りではなく,エンジンの排気量の大小でエンジンオイル交換の値段が決まるいわゆる "Garage Pit Menu" でこの潤滑油 Mobil Super 2000, 5W-30 を採用しているところがあり,それを活用するのが簡便かつ安価である.Grade としては純正指定油より一段ないし二段落ちるが,粘度は 5W-30 と同じである.認証は ACEA: A3/B4, VW: 505.00, MB: 229.1.ACEA: A3 ゆえ HTHS 粘度は 3.5 cP 以上あるはずなので,そちらの問題も無い.ただし,VW: 502.00 を通っていないところがなんとも微妙ではある.
 この潤滑油を実際に使ってみて分かったことであるが,耐久性はそれほどない.走行 10,000 km,もしくは経過時間一年,どちらか先,それ以上は決して延ばしてはいけない.
Canada で出ている仕様書には走行 10,000 km,もしくは経過時間半年となっているのも諾うべな.

 Mobil Super 2000, 5W-30 は半合成油なので上記のごとく耐久性に劣るから,いまは同じく "Garage Pit Menu" にある合成油の Mobil 1, 5W-30 を入れている.

 elf なる銘柄でというなら,我国では合成油 elf Excellium IS, 5W-30 が出ていて,比較的安価でもある.5-liter 容器入りはもちろん無くて,4-liter 缶である.Specification が与えられていないので判断しにくい.欧州系石油屋なので,ACEA 2004: A3/B4 あたりは通るくらいのものとしているであろうが,API: SM, ILSAC: GF-4 以外には情報が無い.elf/Total の欧州での販売品リストには載っていない.こちら elf Excellium Full-Tech, 0W-30 なら,認証でも明記されていて問題ないが,elf Excellium IS, 5W-30 はそれよりは下で,おそらくは,Lutécia III に Renault が指定する elf Evolution SRX, 5W-30 に近い仕様であると思われる.欧州での販売品リストでは Excellium より Evolution は下になっている.

 純正オイルフィルタは Filtre à huile #8200 033 408, ¥1,080 + 税.同等品なら Bosch: 0 451 103 345 (OF-REN-1), Knecht: OC-309, Mann: W75/3, Hengst: H12W02 など.純正より同等品の方が高価ということがあるから注意.



四輪アライメント規定値,Wheel Alignment

 前輪
  トーイン:0°00' ± 10',± 1.7 mm に相当.調整可.Toe-In
  キャンバ角:0°00' ± 60',左右最大偏差:30',調整不可.Camber
  キャスタ角:4°30' ± 60',左右最大偏差:30',調整不可.Castor
  キングピン角:9°40' ± 35',左右最大偏差:30',調整不可.Steering Axis Inclination
 後輪
  トーイン:0°30' ± 15',± 2.6 mm に相当.調整不可
  キャンバ角:- 1°10' ± 25',調整不可

 前輪のトーイン:0,キャンバ:0 という Simple なもの.前後輪を通じて,調整できるのは前輪のトーのみ.185/60 R15 タイアの外径はおよそ 600 mm なので,トーイン/トーアウト 1 mm は角度で 5.7' にあたる.この車のトレッドは前輪 1,458 mm,後輪 1,456 mm とほぼ等しいので,レーザ水準器,レーザレヴェラなどで前・後輪外側,車軸高さ位置に水平にレーザ光を通し,リム外周で光軸との隙間を測れば,トーイン/トーアウトを確認することができる.数千円で入手できるレーザ水準器でも充分に有用である.缶コーヒの空缶をタイアの側に置いて,巻尺でタイア間距離を測る方法では,車軸高さ位置の値が得られないだけでなく,タイア撓みの影響からも免れ得ないので,高さについて換算するにしても,その数値は参考程度に留まる.

 前輪アライメントについての,我国の車輌検査規定は Sideslip: In 5 mm/m, Out 5 mm/m 以内というものであり,一部の輸入車についてこれの 例外が認められている が,Lutécia III はそれら例外には入っていない.Sideslip Tester のことを英国では Scuff Plate と呼ぶ.米国で Scuff Plate と言えば,ドアの敷居にあたる部分を踵などの衝撃から保護するために貼る板のことである.



Service Due

 Key をひねってエンジンをかけたらメーターパネルの表示に "Auto Light: Deactivated", "Oil Level: Correct" などのあとに "Service Due" と出るようになった."Service Due" の意味は "点検要請" であって,"スパナ" マークの "要修理" ではないものの,ディーラへ持って行って,診断機を繋いでリセットしてもらわなければならないのか,ソリャ鬱陶しいと思いながら少し検索したら,ワイパー操作レヴァー先端部のスウィッチ長押しで消せるらしいと知られた.

 消した直後の表示は 10,000 km となっていて,その後,走行ごとに距離が減って行く.これまでの総走行距離は 一万数百 km なので,"Service Due" 点灯とは,近々点検してくださいよとの勧告が,走行 10,000 km 毎に出るというものであると推測される.経過時間も加味されているようで,走行距離がそこまで行かなくても,半年に一度くらいの頻度でこれが出る.他メーカのある車種では,走行中に "チーン" という大きな警告音を発し,そのあと,始動するたびごとに点滅フラッシュで点検を要求するうえ,それを消すには専用の診断機が要る.こちらの "Service Due" はそうしたものに較べるとずいぶんおとなしいし,ディーラの収入源でもない.



修理書,Service Manual

 車の機能を維持して行くには適当な修理マニュアルが要る.分解順序などが分からないままで始めると,しばしば爪を折ってしまったりする.Clio III について Haynes の Owners Workshop Manual は発行されていない."Mégane, Oct 2002 to 2005", Haynes #4284, ISBN 1 84425 284 1 というのに K4M なども出ているので,エンジンなどについてだけならいくらか参考にはなる.修理書出版の雄 Robert Bentley はアメリカの会社なので,米国に輸入されていないフランス車の修理書は,Clio III を含め,もちろん存在しない.

 Renault "Dialogys" と呼ばれる修理業者向けの CD セット (新しいものでは DVD 二枚組のものも) が出ており,年に数回更新されて,2009 年 7 月時点で Dialogys 3000 Version 6.4.2 (Application)/3.75 (Data) となっている.こうしたものを 1 セット入手すれば,Clio III に留まらず,かなり古い Discontinued 車種を含め最近出た車まで,大半について修理書を閲覧できるし,部品番号を調べることも可能である.

 eBay.de で見つけることができた.英独仏日など 11 ヶ国語で入っているとあるけれども,それはページを繰るためのマネージャ部分 (Application) だけである.ドイツで出ているものなので,いくつかの CD に "DE" なる表記があって,修理書本体部分 (Data) はドイツ語で書かれた pdf ファイルとなっている.MR392 以下が Clio III の修理書である.最初,入手しようと調べたときには,eBay.fr などのフランス市場 / eBay.co.uk などの英国市場で売り出されているのをほとんど見かけなかったから,何らかの拘束* があると想像する.市販が想定されていないものであることは確かであろう.ところが,2009 年中頃からなぜか英国 eBay.co.uk に売りものが出るようになった.こちらなら修理書本体部分 (Data) も英語の pdf ファイルになっているうえ,右ハンドル車のデータが入っていることは確実である.ただし,売りに出ているものが Renault が配布したオリジナルメディアであることは稀なので,そこにも注意が要る.CD や DVD の表に Renault のマークが印刷されているからといって,それがコピーでないという保証は無い.Dialogys には "JA" と表記された日本語版もあって,それでなら Mégane, Clio, Avantime など,正規輸入された車種の修理書を大半日本語で読める.すべての車種で日本語化されているわけではなく,他車種については英語の pdf ファイルが入っている.

 Dialogys は 2007 年末を境に Dialogys MPF2 Version 5.5.0 から Dialogys 3000 Version 6.0.0 へと進んだ.MPF2 の前には Dialogys MPF (MPF1) という Format もあった.MPF は Multi-Platform の意で,Windows でも Macintosh でも動くということになっているが,MPF1 Version 4.4.0/3.27 にはなぜか Mac のドライヴァはない.また,Dialogys 3000 でも Multi-Platform である.これらが Intel Mac で動くかどうかは定かでない.G4 Mac/OS X 10.4 でなら問題ない.Windows については,ほとんど XP までで,ごく最近の Version でなければ Vista では動かないようである.Windows 7 での動作に関しては何も分からない.

 Application: CD0 と Data: CD1/CD2/. . . とは,MPF1, MPF2, 3000 でそれぞれの組み合わせになっているから,3000 用の Application: CD0 と MPF2 用の Data: CD1/CD2/. . . というような混ぜこぜでは動作しない.また,Installation に際して,どの言語の Data かを,つまり "DE", "FR", "RU", "JP" などのうちのどれであるかを Application に正しく伝えておかないと,Repair Manual や Technical Note にアクセスできず,CD2 を入れろと永久に要求される.Clio III だけの用途になら現行よりひとつ前の MPF2 でも充分である.いまは MPF2 Version 5.5.0/3.55 "DE" を使っている.パーツ名もドイツ語で入れる.価格はユーロで出てくる.フランス車の修理手順をドイツ語で読むことになるとは思いもしなかった.車台番号をだけでなく,B ピラー下部にある "メーカープレート" に記載された車輛技術仕様や装備品レヴェルなど,各種 Code を入力しておくと,部品や修理手順の特定が容易になる.

 * Sämtliche Urheberrechte liegen bei Renault S.A. Verwendung des Teile-Nummerierungssystems sind ohne besondere schriftliche Genehmigung von Renault S.A. nicht gestattet. フランス語版では Tous les droits d'auteur sont réservés à Renault. La reproduction ou la traduction même partielle du présent document ainsi que l'utilisation du système de numérotage de référence des pièces de rechange sont interdites sans l'autorisation écrite et préalable de Renault. と,また英語版では All copyrights reserved by Renault. Copying or translating, in part or in full, of this document or use of the service part reference numbering system is forbidden without the prior written authority of Renault. となっているので,修理書ファイルを閲覧することは制限されていないが,Dialogys をインストールして部品番号を検索するのは書面による許可を得たうえのことである.さて,日本語版を見ると「著作権はすべてルノー S.A. に帰属します。ルノー S.A. の許可なく本書の全部または一部の複製、翻訳、および作業番号レファレンス・ナンバリング・システムの利用を禁じます。」とあって,この記述から,作業番号と部品番号が相互に独立であると解釈するなら,部品番号を調べることも問題ではないことになる.この著作権表示部分をここに掲載することが "本書の一部の複製" にあたるかどうかは分からない.出典明記での参照ないし引用に該当するとしてここに挙げた.



三角停止表示板,Warning Triangle

 先に欧州で定められていた Euro-Norm 27R03 なる EU 規格,Norme Européenne E13 Homologue 27 R 030015, Genève n°27 に沿って,フランスでもこの 2008 年 7 月から,路上で立ち往生したときのために赤い 三角停止表示板 と黄色い安全ベスト Gilet de sécurité を車内に常備することが義務付けられた


 違反に対する罰金は 135 € (早期納付 90 €),10 月から徴収するとある.三角停止表示板はドイツなどではかなり以前から義務化され,車輌のトランクなどへの置き場所も設定されていたところで,フランスでもようやく腰が上がったようである.データは 2005 年現在とやや古いが,欧州各国の状況は ここ に.


 "三角停止表示板" はフランス語では Triangle de danger, triangle de sécurité, triangle de pré-signalisation などと言うらしい.

 上述のように,今回フランスでは黄色の安全ベスト Gilet de sécurité, gilet réfléchissant, EN 471 と合わせて義務化されたようである.袋に入ったセットが多く売り出されている.右上の赤い袋はそのひとつである.もちろん別々にも入手できる.右の写真は Michelin が売り出している三角停止表示板 Réf. 9535 と黄色安全ベストのセット Réf. BUN5408 である.長さと幅の比から見て,これは "Euro-Micro" サイズ,質量 500 g のものであろう.ドイツの安全ベスト Warnweste には赤地に白の横帯二本のものとのものとがあり,安全ベストについては EU 統一規格でなくてもよいようである.これらのケースデザインにはフランスらしいそれなりのセンスがうかがえる.



 Renault 純正品としてなら,右のような,Triangle de sécurité と怪我応急処置材集成 Premiers secours のセットがある.バッグのデザインや色の良し悪しを云々する前に,Renault Japon がこういうものをアクセサリリストに載せていないことがどういう意味を持つかを考えてみるべきである.現行正規輸入車輌に指定の格納場所が無いのは言わずもがな.現地で売られている Clio Grand Tour Concept / Clio Estate に収納場所が用意されているのを見た.

 バッテリの突然死,自動変速機 DP0 の信頼性などのことを思うと,三角停止板は要るときには要る.我国においても Renault 車への常備必須品ではないか.当方の Lutécia には Volvo 純正の三角停止表示板と Brest の薬局で買った車輌搭載用救急箱 Boîte de secours を分けて積んだ.



Clio III RS の前輪サスペンション

 上にあげた Lutécia は通常版であるが,Mégane と Clio には ルノースポール Renault Sport: RS という Version が別途用意されている.それらは通常版の 3-door 車と外観はそれほど変わらず,特に Mégane II, Clio III については外見上の差は少ない.しかしながら,これらは実際には通常版とは別の車であると言うべきほどに内容差が大きい.Mégane II RS, Clio III RS では排気量の大きいエンジンが搭載されているということ以外に特に前輪サスペンションがかなり大きく異なり,RS Version のそれについて,稿を改めて述べる必要を感じさせるものになっている.前輪サスペンションの表示に type Pseudo Mac-Pherson avec triangle inférieur rectangle et pivot indépendant とあるのがそれで,これらの紹介は 2006 年 5 月に出た planeterenault.com の記事 にある.右の図はそこから借用している.Mégane II RSについては ここに

 通常の MacPherson Strut 型のサスペンションでは,キングピン軸はストラットの上端中心とロアーアームの外端ピンジョイントを結ぶ線に相当し,軸が実在するわけではない.しかし,この "pivot indépendant",英語で "Double-axis strut" と呼ばれるシステムでは,ストラット下方に (2) porte-pivot, Upright があって,それに (1) porte-moyeu, Hub-Carrier が嵌まり,上下に分かれているとはいえ,一線上に乗る二本の実在軸で両者は結合され,(1) porte-moyeu, Hub-Carrier はその軸周りに回転できて,実在キングピン,すなわちステアリング軸になる.


 つまり,転舵軸と懸架を受け持つ軸とが独立している.独立という意味は設計の自由度が大きく上がるということである.もちろんその転舵軸は通常の MacPherson Strut 型サスペンションの仮想キングピン軸よりも外側にある.この機構ならキングピンを垂直に立てることすら設計視野内におくことができる.右図から分かるように,Negative Scrub にするのも容易である.

 このように転舵軸を懸架と独立にすると,前輪トルク/水平方向力の受け持ちと上下方向振動ダンピングとを機能分離することができるだけでなく,駆動力変化による Torque Steer が小さくなるように設定できる.その効果は例えばコーナリングを抜けるために加速する,そのトルクを早めに与えることができることなどに現れる.もちろん制動時の Steer 特性も素直になる.

 しかしながら,良いことばかりなのかどうか,しっかり見なければならない.記事にあるように (2) porte-pivot, Upright をアルミで作ることはできるのであろうけれども,(1) porte-moyeu, Hub-Carrier の材質には触れられていない.そこをアルミにすることはおそらく不可能で,鋳鉄か鋼鉄でなければならないであろうから,バネ下質量は必ずしも低下するわけではない.そのあたりの機微を知りたいものである.


 これは,前世紀末に完成された Audi A4/VW Passat のマルチリンクサスペンションとはまた別の,究極の前輪サスペンション実現への可能性を与える.記述しておく意義はここにある.けれども,この機構はまだ一般者向けの多量市販車には採用されていない.これの動作を自ら経験するには通常版車輌の倍の金額を奢る必要がある.2008 年 9 月に発表されたという Mégane III 通常版に採用されているというなら "ほんまもん" と言えるところへ来ているのであろうが,そこのところがどうなっているのかはまだ知らない.

 サスペンションについては,宇野 高明: 車両運動性能とシャシーメカニズム,グランプリ出版, 1994, ISBN4-87687-150-7, ¥2500E ならびに,熊野 学: サスペンションの仕組みと走行性能,グランプリ出版, 1997, ISBN4-87687-183-3, ¥2200E によく纏められている.後者には,上述の機構に深く関連するスバル: ff1 やトヨタ: スーパーストラットなども解説されている.ただし,メーカ別の章で国産車についてのみ解説されているところに不満が残る.



Renault の Turbo-charged Engine

 我国に代理店経由で入ってくる Lutécia III には 1.6 liter 火花点火の K4M エンジンしか付かないが,Clio には,ディーゼルエンジンの設定もあるし,いま Twingo GT として入ってきている 1.2-liter Turbo 100 エンジンも設定されている.

 Engine の Downsizing は欧州だけでなく米国にも拡がりつつある.フランス各社はこの趨勢についてはドイツに大きく遅れをとっている.これには過給と燃料のシリンダ内直接噴射が二大要素であるが,フランス勢での独自機種はまだない.PSA が載んでいる のは Prince Engine: EP であるが,これには BMW の技術が入っている.もっとも,製造は La Française de Mécanique, Douvrin/Trémery でなされている.

 Renault は過給については多くの実績を有している名門であるが,直噴を市販するにはいまだ至っていない.それでもいくぶん Downsizing の形になっているものとして,"TCe, Turbo Control Efficiency" という名称が付いた TCe 100 と TCe 130 とがあり,排気量はそれぞれ 1.2 および 1.4 liter である.

 この "TCe" がどのような特性を持ったものであるかを,例によって,スウェーデンの RRI, Rototest Research Institute のデータから推し量ってみる.そこには 1.4-liter エンジンのデータはまだないので,1.2-liter の "TCe 100" を取り上げる.この "100" は "100 chevaux", 100 馬力の意である.特性を知るには同一サイズ・同一形式のエンジンで,無過給のものをその比較対象とする必要があるが,それにピッタリというデータが見当たらないので,やむを得ず,Clio Eco2, Flex Fuel, 55 kW という,アルコール 85%,ガソリン 15% の E85 を燃料とした無過給エンジンを充てる.

 両者とも Bore×Stroke: φ69.0×76.8, 排気量 1.149 liter であり,エンジン形式は "D4F" である.
 無過給 E85 Version の公称最大性能は,55 kW @5,500 rpm, 107 Nm @4,250 rpm, となっている.最大トルク/出力について,ガソリンを燃料とする通常の無過給 "D4F" と変わらない.
 "TCe 100" は "D4FT" ないしは "D4F 784" と呼称される.その最大性能は,74 kW @5,500 rpm, 145 Nm @3,000 rpm である.吸気管内噴射ながら圧縮比 9.8:1と高く,そこは立派である.

 実測値で較べたものが右の図である.横軸:回転速度,縦軸:トルク/出力 ともに,零 0 から目盛られている.2,500-3,000 rpm のトルク向上幅の大きいところで 1.5 倍,その外のところで 1.3 倍くらいである.1,600 rpm のトルクが 1.4 倍になっていて,低速トルク向上に留意されていると知られる.直噴ではないから,平均有効圧で 20 bar 以上に過給するということはできず,1995 年ころの技術的前進であった マイルドな過給 に留まるが,低速トルクならびにフラットトルク性について,直噴・過給のそれに近い特性が実現されている.

 しかしながら,これが出たのは 2007 年であり,12 年の遅れがある.また,Turbo 過給エンジンを積むから "GT" 仕様などというのは,前世紀ならいざしらず,もはや時代遅れであること論を俟たない.そういう考えを脱してこその Downsizing である.Twingo はともかくも,Clio では GT とは呼ばれていない.別途 RS があるからであろうか.年月を経ているものでも良いものは良いが,自社の Web site でこれらをいま "Star Performers" などと表示しているようでは,次はまた 12 年先ということであろう.VW が 2009 年に出した直噴・過給 1.2-liter CBZ エンジンではトルクは 175 Nm @1,500-4,100 rpm であり,高熱負荷を懸けないが故のアルミブロック Derating 版,つまりマイルドといっても,低速から中速域での過給効果ではほぼ 2.0 倍を得ている.

  2012 年にようやく本腰をあげて出してきた Downsizing コンセプトが Energy Tce 115 と Energy Tce 90 である.前者は直噴であるが,後者はポート噴射のまま.後者は前者のシリンダをひとつ減らし,簡易化したもの.Energy Tce 115 は Bore×Stroke: φ72.2×73.2, 排気量 1.198 liter であり,下図のように,85 kW @4,500 rpm, 190 Nm @2,000-4,000 rpm となっていて,典型的なトルク特性を持つ.1,500 rpm から最大トルクの 90% を発する.圧縮比は 10.0,燃料噴射圧は 200 bar.Energy Tce 90, "D4F 740" は,3-cylinder, Bore×Stroke: φ72.2×73.2, 排気量 0.899 liter.圧縮比 9.5,66.4 kW @5,250 rpm, 135 Nm @2,500 rpm.最大トルクの 90%, 122 Nm を 1,750-5,250 rpm で出す.最近の Long-stroke 流行りから Square に転換していて,先の 1.2-liter "TCe 100" から作られたものではないと知られる.VW が 2009 年に出した直噴・過給 1.2-liter CBZ エンジンをようやく越えた.




 To be continued !

 Still not fixed.



「言わずもがなのことだが,内容の一部であろうとも 無断転載を禁ず
引用する場合にはこのページもしくはこの Web site の所在を明記されたい
Copyright © 2008-2018, Y. Ohta, All rights reserved. Except as otherwise permitted by written agreement, the following are prohibited: copying substantial portions or the entirety of the work in machine readable form, making multiple printouts thereof, and other uses of the work inconsistent with Japan and applicable foreign copyright and related laws.

Back to Car Related Page
Back to Homepage