ディーゼルエンジンの混合気形成と燃焼
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Mixture Formation and Diesel Combustion


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 ディーゼル機関については書くべきことが多くあって,簡単に済みそうにないから,とりあえずできたところから掲載し,順次付け足して行く.現今では,Common-Rail 方式に移行し,燃料噴射圧が 2000 bar くらいまで上がっており,従来の Jerk Pump でせいぜい 200 bar くらいで燃料を噴射していたときとは状況が変わってしまっている.このページはいまのところ,そこの切り分けが充分ではなく,従来方式での概念をまず説明してあり,末尾に Common-Rail 方式に移行した初期段階のものを載せてある.現在 主流になりつつある方式についての概念 については別ページを追加した.

 ディーゼル機関と火花点火機関の違いについて TDI, FSI などのページ で少し触れたので,そこも参照されたい.火花点火機関では,回転速度に応じて速く燃えるという天の恵み があるが,ディーゼル機関にはそれがない.エンジンが成立するかどうかという点ではそこが最も大きな違いである.

 右の図はディーゼル燃焼過程についての影響因子を抽出したものである.広安博之先生の図が

 Borman, G. L. and Ragland, K. W., Combustion Engineering, McGraw-Hill, ISBN 0-07-1195978-9, (1998), 393

に転載されており,それを少し敷衍した.与えたものから出てくるものへの変化に何が寄与するかは示されている.楕円で囲ったものがそこにある物質である.

 教科書に載っているディーゼル機関に関する記述のかなりが現在そのままでは通用しない.その多くは燃料噴霧 Fuel Spray が従来と大きく変わったことに由来する.噴射圧が 100 bar 台から 2000 bar を超えるほどに一桁以上あがり,噴孔が著しく小さくなって,燃料噴霧への空気導入 Air Entrainment の経緯もそれに応じて変化した.もうひとつ変わったことは,燃料/空気の混合 Fuel/Air Mixing 操作において,従来なら嫌っていた,既燃ガスの介在をいまは必ずしも避けるばかりではないということである.もちろん,いまも変わらない原理というところもないではなく,依然多くは不変である.ここではそうしたことを切り分けて行こうと思う.すでに過去のものになってしまった形式なども説明することがある.工学というものの考え方がそこにあって,消滅の理由を含めて,現象における因果関係が明瞭である事項について知っておくことは無駄ではないと考えるからである.


 ディーゼル機関で "直噴","直接噴射式" DI という表現は火花点火機関で "直噴" というのとは意味が異なる.ディーゼル機関ではどれでも燃焼室内に燃料を直接噴射する.単語そのままの意味ならすべて "直噴" であるが,ディーゼル機関では,副室を持たず,シリンダのみに燃焼室が用意されているものを "直噴", "直接噴射式" という.右図の左がそれであり,実質的な燃焼室はピストンに穿たれたキャヴィティなのであるが,これを副室とは看做さない.燃焼の場に明確な移行が無いからであろう.ディーゼル機関発達の歴史から言えば,ごく薄い浅皿形ピストンから出発しており,その場合はシリンダそのものが燃焼室であった.

 副室式 IDI は,燃料噴射圧が 2000 bar を超えるようになった現在から見れば,噴射圧が低いことの弊害をなんとか軽減するための技術であったというように読める.



燃焼室と混合気形成 / 燃焼機構の概念

 混合気形成については,燃焼室形式に関係する概念の把握がまず必要なので,その基本を述べておく.

1) 予燃焼室式 IDI, Pre-Combustion Chamber Type

 シリンダ側を主室と呼び,それにつながる別室を有し,そこに燃料が噴かれるそういう燃焼室形式は副室式と呼ばれる.

 予燃焼室式の代表例として Caterpiller のそれを右に示す.上死点における隙間容積の 25 - 45 % を占める予燃焼室がシリンダヘッドに設置される.上死点隙間容積に対して予燃焼室が占める容積を容積比,シリンダ断面積に対する連絡通路 (噴孔,噴口と呼ばれる) の面積を面積比という.面積比は通常 0.25 - 0.7 % と小さい.Caterpiller の予燃焼室では噴口はひとつであるが,複数個の噴口を持つものが多い.

 全燃料が予燃焼室に噴射され予燃焼室の小径部,前室に溜まり,予燃焼室の大径部,後室において過濃で燃えてできた燃焼ガスの圧力で過濃燃焼ガスと燃料とが主室へと送られ,そこで新たな空気を得て再着火し,燃える.その際,霧吹きの霧化作用が働く.予燃焼室内の圧力が主室より数気圧高くなると,予燃焼室から主室へ噴流が速度 100 - 300 m/s で流れ,未燃燃料は 5 - 15 µm の粒径に微粒化される.

 予燃焼室は主室での燃料/空気の混合のためのものとして設計されてきたのであろうが,その本質は Rich-Lean 二段燃焼,予燃焼室内掃気不足/残留ガス過多による低 NOx 燃焼にあったと思われる.


 かつてはシリンダ径数百ミリという,今でいう中型までがこの形式であった.しかし,絞り損失が大きい -> 冷却損失が大きい -> 熱効率が低い,ということで,すっかり使われなくなくなった.連絡孔が最初だけ狭くて,ピストンの下降とともに拡がるという Pielstick のような変わったエンジンもある.絞り損失の低減がねらいであろう.

 燃料噴射を流入空気と真正面で衝突させず,予燃焼室の噴口近くへ燃料を集め,着火は奥で起こるようにするというのが基本概念である.噴口からの流入空気を噴射ノズルから出る燃料に衝突させてはいけない.後室で噴霧の横から空気を当て,後室内で着火が起こるようにする.日本ガス協会が作った自着火方式のセラミックガスエンジンは,副室内の燃料と主室から流入する空気との先端接触面で着火するような機構になっており,必ずしもこの原則に沿っていないと見た.予燃焼室式の思想が残って,現に使われているのは,火花点火副室式ガスエンジンパイロット着火副室式ガスエンジンにおいてである.コジェネレーションシステムで現在最も広く使われている形式である.ただし,ガスエンジンの場合には,稀薄予混合気を燃やすので混合は済んでいて,予燃焼室は着火源を広く主室へ播くためだけのものである.この場合,予燃焼室を燃料全量が通らない.フィンランドのエンジンメーカ Wärtsilä 社の Web site にあるここの動画がよい


2) 渦流室式 IDI, Swirl Chamber Type

 AVL, FEV といった研究会社のひとつである Ricardo の貢献そのものでできた.1931 年のことという.構造は下左の図のようである.渦流室は副室とはいえ空間サイズでは主室に引けを取らず,初期のもの は,副室であるこの渦流室だけで燃焼が完結するように計画されていた.後年,実用されたいたエンジンの多くは,容積比で 50 % くらいであった.

 圧縮行程中にシリンダ側から連絡孔を通して渦流室に吹き込まれる空気流がよって渦を形成する.上死点近傍ではこの渦は,中心部が強制渦,周辺部は自由渦になっている.この様子を右図に示す.火炎は密度が低いので渦の中心部へ巻き込まれるので,燃料噴霧は中心を避け,渦流れに乗せるようにするとよいことになる.そういう機構なので,この段階でなら渦流室は二次元的なものであってよく,球形である必然性はない.
 * 強制渦の周速度は , ここに ωs は角速度,r は渦流室中心からの半径である.自由渦では の関係にある.

 回転渦の中に質量 mq,容積 Vq,密度 ρq の小片があるときその小片の半径方向の運動方程式は,


で表され,vθ は周速度である.一方,回転運動をしている密度 ρ の流体では,


である.したがって,密度 ρq の小片の運動方程式は,


となる.ここの式展開が解らないときには この辺り を参照するとよい.
 渦の中では,高温の火炎や既燃ガスは相対的に密度が低いから中心方向に移動し,低温の空気は逆に外周方向へ移動する.これを
熱混合効果 Thermal Mixing という.逆の立場で見て,高温のガスが渦の効果で中心部に閉じ込められる現象を熱ピンチ効果 Thermal Pinch という.

 渦流室式ディーゼル機関では,高温の既燃ガスと低温の空気とが熱混合効果でその場所を入れ替えるという機構で,燃料と酸化剤との邂逅をはかっている.既燃ガスと空気とについて,流体塊がある大きさのスケールを有すると考えないとこれは成立せず,分子レヴェルの混合はどうかということにについてはわからない.この燃焼室方式では 燃料噴霧は空気の渦流れに "静かに" 乗せる のが基本であり,燃料噴霧に運動量を与える必然性がない.噴射圧を高めて良いことはまずない.渦流室式壁面に燃料噴流が衝突すると直ちにすすが生じる.

 工学としては優れた発想ながら,熱混合効果による混合で燃焼が進んで行くと理解できるのは,上死点近傍までの熱発生過程前半だけである.渦流室に生じた熱発生で室内圧力も上がり,あわせてピストンが下がり始めると,渦流室からシリンダに向かって燃焼生成物が流れ出すから,この反時計方向廻りの大きな渦構造は維持できなくなり,熱発生過程後半の混合は熱混合効果で説明できなくなる.この後半は予燃焼室式と同じようなことにならざるを得ない.上右,カラーの概念図では上死点を過ぎ,ピストンがかなり下がったところになっているが,渦流室内部はどちら向きに流れているのであろうか.そういう意味では,上左の概念図でも主室への吹き出しが描かれていてなお,渦流室内の渦もそのままの回転方向になっているのは,厳密には正しくないかもしれない.こうしたことと,渦流室の形状が完全な二次元ではなく,年代を経てその容積比が小さくなっても,依然として卵形であったこととが関係しているように思われる.

 ピストンに穿たれたくぼみとそこから左右に展開される浅皿渦室を,上三枚並びの図,左,中に示した.これはまた新たな意味を持っている.この凹みの深さや左右の浅皿渦室を等閑にすると中負荷以上で清浄な排気が得られない.眼鏡のような形をしているが伊達眼鏡ではない.つまり,渦流室式では副室の渦流室の意義が大きいが,予燃焼室式のように未燃焼物をとにかく主室へ放り出せばよいというのではなく,主室での混合においてもなお一工夫必要で,主室にも浅い渦室がなくてはならないというわけである.

 渦流室の容積比を上げた方がすすの生成量が低下する.このことは燃料供給量が多くなければ熱混合効果がうまく機能することを示唆する.けれども容積比低下の歴史しかない.渦流室は軽負荷向きの技術であり,高負荷運転に完全に対応できる根拠を与え得ずして席を譲ったのではないか.予燃焼室型渦流室というようなものになって行った理由がそこに見いだせよう.

 エンジン回転が上がればそれに連動して渦流室内の渦の回転速度も上がるということから,高回転型ディーゼル機関はこれでしか成し得ず,かつては乗用車用ディーゼル機関と言えばこれというほどに一世を風靡し 5,500 rpm くらいまで廻るものもあった.しかし,現在では乗用車用についてさえ主流はターボ過給直噴ディーゼル (TDI) へとすっかり移行してしまった.


3) 直接噴射式 DI, Open Chamber Type

 直接噴射式 DI, Direct Injection とは燃料噴霧をシリンダに直接噴射する方式で,副室を設けてそこへ噴射する間接式 IDI, Indirect Injection に対する表現である.これの混合手法は スワール扇面理論 が基本である.説明用の図は下の中央にある.噴霧によりその本数分に分割された扇面形空気塊が スワール によりそれぞれの噴霧へと横から順次押し込まれることで燃料/空気の邂逅がなされる.#1 の噴霧にはその背後にある #1 の空気扇面部分の空気がスワールによって順次導入される.#2 の噴霧には #2 の扇面形空気塊が供給される.#1 の空気流は #2 の噴霧に干渉しないように設定されなければならない.日野の HMMS 燃焼室と思しきシミュレーション例なども参考になる.主体のスワールによる混合に加えて,正/逆 スキッシュ Squish で混合の仕上げがなされるというものである.


 Alcock, J. F. and Scott, W. M., "Some More Light on Diesel Combustion", Proc. Auto. Div., Inst'n Mech. Engrs, 5, (1962-1963), 179-191.

 直接噴射式の燃焼室は,ある程度大型のエンジンでは 浅皿型 Sallow-Dish type が多い.これの場合にはスワール扇面理論がそのまま当てはまる.一方,小型ではほぼすべてが,ピストンにキャヴィティを持つ トロイダル型 Totoidal type であり,上の写真列は開口を絞らないトロイダル型の燃焼可視化経緯である.キャヴィティ内にスワールが強くかかり,燃料噴霧に対してスワール扇面理論が適用されている様子が見て取れる.また,逆スキッシュで火炎がキャヴィティから出て来るところもよく現れている.

 トロイダル型のなかでもキャヴィティ開口を絞り,キャヴィティ中央に突起を起てた リエントラント型 Re-entrant type が増えている.Re-entrant とは凹入,内に凹んだという状況を意味する.Entrant は新規参加者の意なので必ず "Re" を付ける.浅皿型燃焼室でのスキッシュの効果は単に水平方向中心へ向かう流れに過ぎないが,リエントラント型ではキャヴィティ内に芯となる突起があるので,キャヴィティに渦輪が創成される.

 近年の小型乗用車用ディーゼルの過給直噴機関では,キャヴィティをどう構成するか,スキッシュリップをどのような形状にするかが,混合や燃焼の良否を決める鍵である.下の図は VW の 1.9-liter TDI, φ79.5×95.5, 圧縮比: 18.5, 110 kW, のために検討されたいくつかのキャヴィティを示したものである*.採用されたキャヴィティ "2a" とそうでないものとを並べて見ることで,どういう状況が与えられなければならないのかを推量することができる.1) シリンダよりも狭められた空間,キャヴィティの内部においてもスワールを確実に受け止めるために芯を定めなければならないこと,2) キャヴィティ内部の芯は必ず突起として立て,渦輪ができるようにすること,3) 適度な太さを持つドーナツ形空間とそこでの流れが乱されないように保持する Wall Guide の構築,4) スキッシュリップには鋭角のエッジを多段に設けてそのウェイク Wake で細かい乱れを往き復りに発生させる必要があること.それは回転速度の上昇に反比例して燃焼をそれだけ短い時間で完了させる手段,などである."4" ではまずはっきりした渦輪ができない."1, 5, 6" では渦輪が細すぎるのであろう."2" と "2a" の差は.(3), (4) での差である.キャヴィティの弧に沿う円を渦輪として図に描き入れてみれば分かりやすい.なお,出力 110 kW のときの過給圧は絶対圧で 2.55 bar である.


 採用されたキャヴィティを眺めると,ドーナツ形の燃焼空間を形成していて,スワールでキャヴィティ中心軸まわりの大径旋回流動が与えられているのに加えて,ドーナツ身部分リング中心軸まわりの小径渦がスキッシュ流の流入でつくられる様子が想像できる.流れの概念を図示すれば右のようなことではないか.Helical Screw というか,コイル状の環旋回流である Donut-like Vortex Tube になっていて,そこへ燃料が供給される.Open Chamber Type とはいえ,キャヴィティは新たな副室と化しているわけであり,渦流室式との共通点と相違点とを見極める必要がある.


 キャヴィティリップ Cavity Lip の形状が複雑なのも正/逆スキッシュ流れが生む微小な乱れの生成に寄与し,そのことで回転速度の上昇に比例した乱れ強化が意図されている.ピストン軸中心からキャヴィティ軸中心が偏芯しているのも意味を持っていよう.キャヴィティ内での燃焼機構については,石塚らの 管状火炎 燃焼の考え方** が参考になる.

 右はドイツの研究会社 FEV のページに出ている図 であり,エンジンサイズが大きめのもののようであるけれども,この形の燃焼室 でスワール,スキッシュ流れと噴射開始直後の燃料噴霧との関係が知られる.スワール下流に強く流されている上,しっかりと捩じられている.キャヴィティリップ近くの多状斜縦流れや,ヘッド側にできる水平の小さな渦も興味深い.もっとも,ドーナツの下面側半分が表示されていないのはまことに残念である.


 上の図中央では逆スキッシュ Reverse Squish の意味が表現されている.ピストンの下降に伴う逆スキッシュで,燃焼生成物がキャヴィティからシリンダへと引き出され,そこで新たに周囲空気と混ざって燃焼が完結する経緯が知られる.逆スキッシュの効果が分かりやすい動画もある.

  * Neyer, D., Dorenkamp, R. and Rottenkolber, P., "25 Jahre Dieselmotoren von Volkswagen", Mai 2001, 17, Sonderpublikation der MTZ.
 ** Sakai, Y. and Ishizuka, S., "Phenomena of Flame Propagation in a Rotating Tube", 26th Symp. (Inter'l) on Combust., 1996, 847-852, Combustion Institute.

 ピストン径が比較的大きいとき,ピストン径に対してキャヴィティ開口部を広くかつ浅くして,上述の Donut-like Vortex Tube を意図しない例もある.右図がそれであり,SwRI が以前提案していた.スキッシュエリアが小さく,キャヴィティ中央芯の立て方があいまいである.この模式図にはキャヴィティ環状部での流れが S 字形に描かれている.もともとスキッシュ流量,流速ともに低いので,燃料噴霧の運動量が大きく,キャヴィティの底に向かって噴けば,こうなるのかもしれないが,本当にそうか.これで負荷のダイナミックレンジが稼げるであろうか.



 右の図に本田技研が欧州で出しているターボ過給ディーゼル i-CTDi のピストンキャヴィティ形状を示す.サイズは φ85×97.1, 出力は 103 kW である.圧縮比が 16.7 と低い.中央芯の立て方は上記 SwRI のそれと似ているが,スキッシュリップが厚い.キャヴィティの開口は VW に較べるとかなり大きい.燃焼負荷を比較的小さく抑えた燃焼室設計である.燃焼制御には主に可変スワールを使い,高負荷での Smoke 低減を確実にする設定であろう.Accord 用が初期,CR-V 用が後継であり,平均的な負荷域は後者の方が高いという.すす排出レヴェルは同等のままで NOx 排出レヴェルが 10 % 低下したとのことである.後継では,中央芯を高く立ててスワールを保持し,キャヴィティ環状部を明確にすることで燃焼時間の短縮を図っていると読める.グロープラグの配置が詳しく分かればさらに考察できよう.


 VW/Audi の燃焼室のうち,中央芯の立て方が SwRI のそれと似て,突端を鈍らせた例を右図に示す.Audi V 型 3-liter ASB, φ83×91.4 であり,圧縮比は 17.1* である.上の VW 1.9 liter のそれよりシリンダ径はいくらか大きいだけであるが,キャヴィティ開口部が大きい.本田技研 i-CTDi のキャヴィティ形状と較べ見ると,互いにかなり近づいていることが分かる.圧縮比や強力なグロープラグを置いている点も似ている.燃料噴射系が似てくると,キャヴィティの形も収束してくる道理か.初期の Accord 用により近いが,キャヴィティ開口はやや小さく,スキッシュリップエッジが VW/Audi 流である.ドーナツ断面は依然太く,スキッシュ効果重視と見てとれる.* 6-liter 12V では圧縮比は 16 になっている.


  Still not fixed.


名古屋工業大学 機械工学科の 「エンジン工学」 という科目で講義していた内容の一部,もしくはそれをすこし増補したものである.
読者を想定している書きようであるかもしれないが,聴講者のある講義が基であるがゆえであり,本稿の趣旨は自分のためのこころ覚えである.

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